伝える人間にとっても楽しい時間 株式会社ニッピ
■教育CSR活動に対するきっかけと想い
化学が好きで研究をしている人間として、理科の楽しさを子供達に伝えたい。更には、知的財産を後代に伝えたい。そんな気持ちが活動のきっかけでした。CSR活動は、1次産業、2次産業に携わる人が、製品を通じてではなく、人として社会と繋がることができるとても良い機会を与えてくれると思います。特に、理系技術者にとって、知識を伝えることが出来る場は、伝える人間にとっても楽しい時間となります。授業を受ける子供達にとっても、楽しく有意義な時間になり、この授業が、将来理系を目指してくれるきっかけになれば至上の喜びだと思います。年間開催回数は少なくとも、長い期間継続していける活動にしていくつもりです。
■教育CSR活動事例
社会人講師活用型教育支援プロジェクト、小学生向け実験授業を千葉県内にて実施
■チーム構成
人数:10名(講師1名とスタッフ10名程度で授業を実施)
所属部署:バイオマトリックス研究所
■授業概要
単元:からだのつくりとはたらき
対象学年:小学校6年生
タイトル:体の中でも外でも大かつやく! 〜コラーゲンとゼラチンの性質と利用〜
授業の概要と流れ:私たちの体はどんなものでできているのでしょうか?1時間目は、骨や筋肉、皮膚などいろいろな場所で活躍している「コラーゲン」についてそのふしぎな特徴しらべ、体の中での働きを考えてみましょう。2時間目は体のしくみをいろいろ研究している研究者の立場から、身の回りで役に立つものを紹介します。
※単元に、企業の授業を2回行い、前後に先生の授業を挟むことで授業とのつながりをつくり、講師と子どもたちのコミュニケーションの活性化を目指しています。
【導入】私たちの体はどのようなものからできている?
【実験】体の成分をしらべてみよう!〜ダチョウの腱を煮出すと何が出る?〜
【講義】腱や皮膚、骨にはコラーゲンがたくさん含まれている。
【観察】牛の皮や骨の観察。からだの中にあるコラーゲンを見てみよう。
【観察:特別実験】 鳥の骨を塩酸の中に入れて、コラーゲンのことを調べてみよう。
【観察】1週間おいた、鳥の骨を見てみよう。
【まとめ】 カルシウムがかたさ、コラーゲンはしなやかさ作っている。コラーゲンやカルシウムはご飯から取り入れ、私たちのからだをつくる材料になる。
【講義】腸の代わりにコラーゲンでソーセージの皮を作ろう。
【まとめ】 からだにはまだまだ分からないことがある。コラーゲンの研究と人の役に立つ研究成果の紹介。
■教材開発のこだわり
〔1〕ニワトリの骨を使ってコラーゲンを調べよう
ニワトリの骨を塩酸に約1週間漬け、カルシウムを溶かしてコラーゲンだけにする実験を行いました。骨はカルシウムの堅さと、コラーゲンのしなやかさによって折れにくくなることを実感してもらいたいと思い、1人1つずつ実験して貰い、希望者には持ち帰って貰いました。
〈手 順〉
①ニワトリの手羽骨を塩酸に漬ける。
②約1週間後、塩酸から取り出し、よく水洗いして観察する。
〔2〕コラーゲンを利用したソーセージの皮作り
からだのつくりとはたらきを学んだ発展として、牛のコラーゲンを利用して腸に似せた皮を作る実験を行いました。コラーゲンに興味を持ち、研究の成果が身近なところで役立っていることを伝えられればと考えています。
〈手 順〉
①液体のコラーゲンを手に取り、塩水につける。
②コラーゲンが皮のように変化することを確認する。
■特別講師の声(本業での活動にプラスとなった事例)
私は日々の研究の中で、多くの驚きを感じており、小学生にもこの感動を伝えたいと思い参加しました。新しい発見をした時の子供たちの表情がやる気に繋がります。
自分が子供だから、子供の気持がわかるような気がする(と勝手に思う)。こんなことしたかったとか、してもらいたかったということが出来たらよいなと思っていた。そんな場を作ってもらえて、仲間もいてよかった。
子供の素直で柔軟な発想、深く鋭い探究心に引き込まれました。子供の視点に立ち、その声を聞くことで、自らを振り返るきっかけにもなりました。
■児童の声
けんやひふにコラーゲンがたくさんあることを知ってとてもおどろいた。コラーゲンを熱したらゼラチンになってびっくりした。
今回の実験は予想もつかず、実験結果にとてもびっくりしました。
骨を酸につけたら溶けるのかなあと思っていたけどやわらかくなっていたからびっくりした。カルシウムとコラーゲンの両方がないといけないことが分かった。
専門の先生だったから、普段聞けないことがいろいろ質問できて良かったです。
■会社概要
住所:東京都足立区千住緑町1−1−1
電話番号:03−3888−6651
URL:http://www.nippi-inc.co.jp/
事業内容:コラーゲン・ケーシング、ゼラチン、その他コラーゲン関連製品の製造販売および皮革関連製品等の販売
社員数:連552名 単178名設立年月日:1907年4月1日
■CSR関連情報
CSR担当部署:バイオマトリックス研究所
電話番号:0297−71−3045
E-mail:[email protected]
担当人員規模:10名
関連予算規模:1,000千円
社会貢献開始年:2007年4月
出典:教育CSR白書2010 (本記事は、2010年11月のものです。)