世界初!無菌化した海藻のゲノム解読に成功!!

世界初!無菌化した海藻のゲノム解読に成功!!

突然ですが、問題です!“ヌルヌル”、“ヌラヌラ”するという語源を持つ海藻はなんでしょう?
正解は・・・ノリ!
おにぎりや巻き寿司など日本人の食生活には欠かすことができません。
Porphyra yezoensisノリの研究は昔から盛んに行われており、全ゲノム配列の解読もその一つです。
しかし、ノリの表面には細菌(共在細菌)が強固に付着しているため、これまでに解読されてきたDNA配列中には細菌由来のDNAが混入しているという問題がありました。
この度、水産総合研究センターと国立遺伝学研究所、九州大学の研究チームは、スサビノリを種々の酵素で処理して細胞壁を取り除き、ついに無菌のプロトプラストを作りだしました。
それにより、細菌DNAが混在しない無菌化ノリのゲノム解読に成功したのです。
そして、そのDNAを他の藻類や植物の遺伝子と比較すると、ノリだけに存在する遺伝子が多数発見されました。
例えば、ビタミンB12依存のメチオニン合成酵素です。
ノリはヒトにとって重要な栄養素であるビタミンB12を多く含む食品として知られていましたが、なぜビタミンB12をたくさん持っているのか、体内でどのように使われているのかは、これまで全く明らかになっていませんでした。
今回の発見は、この謎を解き明かす手がかりとして期待できます。
その他にも、ノリの赤い色に関係する遺伝子候補も見つかりました。
この発見により、紅藻の赤色がどのように作られているのか、解明されるかもしれません。
今回の研究成果は、ノリ養殖においても優良な品種を産みだすことや、品種の識別手法の開発に繋がるものと期待されます。
今後が楽しみですね。(辻 真喜)

参考:http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2013/2013_03_13.pdf

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著者から

tsuji私は琉球大学で藻類の研究をしています。沖縄で最も多く養殖されている海藻は、オキナワモズク!

食物繊維やミネラルを多く含んだ低カロリーな食品です。

ぜひ、皆様ご賞味あれ!