リバネス、アグリノーム研究所とオニテナガエビ養殖および養殖水槽の水を利用した水耕栽培システム開発について共同研究を実施
株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長CKO:井上 浄)と株式会社アグリノーム研究所(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:宮内 陽介)は、オニテナガエビ養殖および養殖水槽の水を利用した水耕栽培システム開発について共同研究を実施しました。
オニテナガエビは、東南アジア原産の大型のエビです。このエビは成長が早く、味が良く、高価格で販売でき、種苗の自給自足が可能なことから養殖に適しているとされています。日本国内でもこのエビの陸上養殖が始まっており、株式会社ジオノーツは単独での種苗生産に成功、6ヶ月の遠隔指導で養殖ができる仕組みをサービスとして提供しています。
今回の共同研究では、アグリノーム研究所にてジオノーツの遠隔指導サービスを導入し、オニテナガエビの生育の推移および生残率、排出物を利用して野菜の水耕栽培(アクアポニックス)が可能か検証を行いました。
オニテナガエビは、遠隔指導を用いて2cm程度の稚エビから6ヶ月後には平均体長7.9cm、平均体重10.0gまで生育させることができました(写真1)。6cm以上になると可食できる大きさになることから、6ヶ月間で出荷できるサイズまで育てられることが明らかになりました。また生残率は25%となりました。オニテナガエビの陸上養殖における生残率は公になっているものはありませんが、バナメイエビの陸上養殖の生残率が60%程度とのことから、その数値に比べて低くなりました。その理由として、飼育時に共食いが発生し、特に脱皮直後の個体が捕食されていたことによるものと考えられました。
一方、アクアポニックスでは、パクチーとアイスプラントを栽培し、84日後に収穫を行いました(写真2)。通常の植物工場栽培においては、パクチー、アイスプラントともに植え付け後30日前後で収穫となりますが、今回は約2.5倍の日数がかかり、草型は徒長気味で重量も低くなりました。収穫時に硝酸態窒素、リン酸塩、カリウムを測定したところ、養殖のみのものよりもアクアポニックスの方が低い値を示しました(表1)。このことから、排出物から栄養成分を野菜が吸収していたものの、通常の植物工場栽培と比べて栄養成分が不足していたため、徒長および栽培日数も多くかかったと考えられました。
表1. 終了時の水質分析結果
アクアポニックス | 養殖のみ | |
硝酸態窒素(ppm) | 0.0 | 21.2 |
リン酸塩(ppm) | 2.3 | 4.6 |
カリウム(ppm) | 15.8 | 31.6 |
EC(μS/cm) | 1178 | 2750 |
今後は、アグリノーム研究所が整備した養殖設備で、オニテナガエビの生残率の向上や未利用資源を活用した餌の開発、その他の陸上養殖の試験などを進めてまいります。
リバネスでは、今後も子会社と共に、研究開発型ベンチャーの技術検証をすばやく実行することでエビデンスを取得し、それを持って技術の社会展開を促していく仕組みの構築を進めてまいります。ご興味がある方はお問い合わせをお待ちしております。
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