【実験教室 実施報告】実験教室「苔で金属を採る」を実施しました

【自然の力を科学する次世代へ】
近年、ネイチャーポジティブ(自然再興)が企業経営における重要なテーマとして注目されています。企業には、自社の事業が自然資本や生物多様性にどのように依存し、またどのような影響を与えているのかを把握し、リスクと機会の両面から捉えることが求められています。その一つの枠組みとして、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応も進みつつあります。
一方で、こうした枠組みに基づく分析や開示を、新たな価値創出や事業につなげることは、多くの企業にとって課題となっています。こうした課題を乗り越えるためには、自然の中に眠る機能や価値を見出し、それを社会に実装していく視点を持った人材の育成が不可欠です。
コケ植物(苔)は、4億年以上前に陸上化を果たした植物の一群で、2万種ほどが報告されています。陸域のさまざまな環境に適応し、パイオニア植物とも呼ばれ、 踏まれても枯れず、岩の上でも育ち、極地でも生き抜く強靭な生命力を備えています。さらに、一部のコケには水中に溶けた金属イオンを吸着する性質があります。
こうしたコケの機能は、金属汚染の低減や資源回収への応用可能性を秘めていますが、その機能はこれまで十分に活用されてきたとは言えません。こうしたコケの機能がもつ可能性 は、自然への負荷を抑えながら新たな価値を生み出す素材として、自然関連リスクの低減や機会創出という観点から、TNFDの考え方にも接続するものとして注目されています。
リバネスでは、こうした身近な生物の機能に目を向けることが、将来の環境技術やリジェネラティブな社会の実現につながると考えています。そこで本実験教室では、「苔で金属を採る」をテーマに、子どもたちとともに自然の可能性を探る機会を創出しました。
なお、本実験教室内で回覧した「苔を用いて採取した金塊」は、株式会社ジャパンモスファクトリー(https://jmf.co.jp/)よりお貸し出しいただきました。
【実施概要】
日時 : 2026年3月20日(金)
場所 : 聖光学院中学校・高等学校(〒231-0837 神奈川県横浜市中区滝之上100番地)
対象 : 中学1〜3年生(男子)33名
テーマ: 「苔で金属を採る。」
講師 :井藤賀 操(リバネス)
【実施内容】
午前は、苔が水中に溶けている金属を採ることができる性質に着目して実験を行いました。乾燥ミズゴケが水溶液中の鉄・銅の金属イオンを吸着する様子を、パックテストの色変化として可視化しました。さらに、希塩酸を用いてミズゴケが吸着した金属を抽出する実験を行い、乾燥ミズゴケがイオン交換によって金属を吸着していることを確認しました。
午後は班ごとに仮説を立て、自分たちで集めた身近なもので銅や鉄の金属イオンを吸着できるかという実験を行いました。生徒たちは、屋上庭園や化学実験室で様々な吸着材を収集し、午前中に習得したパックテストを用いて鉄・銅の吸着の程度を評価しました。その結果を班ごとに発表し、その内容を踏まえて、金属の吸着材に求められる特性や実際の現場で求められる特性について講師から解説を行いました。一日の実験を通じて、身の回りにはまだまだ知らない力をもったものが潜んでいることを感じてもらいました。
【当日の様子】
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| 苔研究者によるイントロからスタート | 苔で金属を採るってどういうこと? |
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| 苔が金属を吸着したのかをパックテストで確認 | 午後は屋上庭園で吸着剤候補を探索 |
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| 実際に苔を採取しているようす | 採取した吸着剤の様子 |
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| 自分たちが選んだ吸着剤候補で実験 | パックテストの結果をまとめる |
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| 各班の発表をまとめて、今回の結果を考察 | 自然界の機能についてのメッセージを伝える |
【生徒の感想】
■ 研究って難しくてめっちゃ大変だと思ってたのですが、意外に楽しかったです。
■ 社会問題を解決しようとしていることを知った。
■ 苔だけでなく、他の植物等や社会問題について知れたし楽しかった。今日はありがとうございました。
■ もっと世界の様々な問題の解決法を探してみたいです。
■ こうしためったに体験できないような経験を積む機会を作っていただきありがとうございました。これからも自分の興味がわいたことにチャレンジしていきたいです。
リバネスでは、答えのない課題に挑戦できるような出前実験教室を全国の小中高校で行っています。また企業が社内外で実施する環境教育向けに実施することも可能です。実験教室の実施をご希望の方は以下のお問い合わせ先にご連絡ください。
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