分野を超えて 新しい可能性にチャレンジ

分野を超えて 新しい可能性にチャレンジ

古河電気工業株式会社 生産技術部 モノづくり改革センター 平塚プロセス開発グループ 足立 賢さん

早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻博士課程修了後、2009年、早稲田大学「実践的博士人材養成プログラム」にて古河電気工業株式会社のインターンシップに参加。翌年、同社に入社。現在に至る。
自分は何に長けているか、どこへ向かっていきたいか。自分のキャリアを一歩一歩確実に積み上げていくため、分野が変わっても研究で培った経験を活かし、さらに新しい知識と自分の専門知識を融合することで新しい可能性を生み出す。バイオから化学へ、アカデミアから企業へ。シフトチェンジをしながらも、足立賢さんは自分の道を歩み続けている。

新境地への第一歩

遺伝子開発技術の研究に従事していたポスドク時代、自分の研究に行き止まりを感じ、研究室の外に広がる可能性を試すために、早稲田大学が行う、博士人材を企業へ派遣する「実践的博士人材養成プログラム」に応募。「研究は楽しかったけれど、著名な研究者と交流しているうちに、研究では勝負できないかもしれない、と思うようになりました」。足立さんは当時をこう振り返る。ナノビーズ等の微小粒子を用いた新規遺伝子解析手法の開発に携わっていたこともあり、マテリアル加工の現場の知識を得て材料とバイオの融合を実現したいと考えた。自分の守備範囲を超えた新しいチャレンジだった。

古河電工との出会い

インターンシッププログラムのコーディネーターには、自分の性格に合い、なおかつ、研究で培ったスキルを活かすことができる企業を紹介していただいた。それが古ふる河かわ電気工業株式会社(以下、古河電工)で材料製造に携わる仕事だった。5か月間のインターンシップ後、同社の生産技術部へ入社。材料技術の分野で高分子の薄膜の製造ラインの問題点を解決する業務に携わる。問題点を洗い出し、解決策を練っていく過程で過去に研究で培った考察力と論理的思考が活かされる。足立さんの活躍の後押しとなったのは、古河電工の人事採用方針だ。専門知識や経験に固執せず、可能性を考慮して人材を採用しているのだ。足立さん同様に、社内では海外の人や異なる職歴を持った人ど、様々な社員が活躍している。

バイオ分野に挑戦したい

「もちろん、研究をまたやりたくなることもあります」。アカデミアから離れ、別分野で活躍する今もバイオ研究の動向に目を向け、昔の研究室の同級生や教授と連絡を取り合う。足立さんはこれからどこへ向かうのか。「将来は、社内で材料の強みを活かしたバイオ分野への挑戦をしたい」。自分が培った専門知識と、材料技術の新しい知識を融合させるからこそ成し遂げられることがある。一歩一歩確実に前進することで、未来が拓かれていく。