ノバルティス バイオキャンプに行こう!

ノバルティス バイオキャンプに行こう!

自分の研究をどのように社会に役立てることができるかを真剣に考えたことがあるだろうか。
スイス・バーゼル市に本拠を置き、世界140カ国以上で事業を展開するヘルスケアカンパニーであるノバルティス ファーマ株式会社は7月26日〜28日の3日間にわたって「ノバルティスバイオキャンプ」を開催し、日本の若手研究者にそのきっかけを与えてくれる。

 

バイオ研究をビジネスへ
ノバルティスバイオキャンプはバイオテクノロジーの分野でグローバルな視野とリーダーシップを持つ日本の研究者の育成を目的として、2005年から毎年開催されている。留学生も含めて35 名程の若手研究者が参加し、そのプログラムは講演とグループワークからなる。講演では日本GE株式会社の会長や理化学研究所の上田泰己氏等、世界的に活躍する講師から彼らが発揮してきたリーダーシップについてレクチャーを受ける。グループワークでは5~6人のチームに分かれ、英語で議論をしながら実質2日間で新規のバイオビジネスプランを考える。まずは各々が自らの専門分野に基づいたアイデアを持ち寄り、何をビジネスにするかを議論して、遺伝子組換えや抗体といった技術をどこの市場で売るべきか、何年後にいくら売り上げるか等、ビジネスプランに落とし込むという。国籍も専門分野も異なる初対面のメンバーで役割を決め、一からビジネス案をつくりあげることはたやすいことではないだろう。途中でビジネスプランの内容やプレゼンテーションの技術に関するフィードバックを受けながら完成度を高め、最終日に投資家役の社長や役員の前で発表を行う。短期間で議論もプレゼンテーションも全て英語で行いながらビジネスプランをつくる難易度の高い課題をやり遂げる、非常に濃密な2日間となる。

グローバル企業ならではの社会貢献活動
日本大会で優秀な成果を挙げた人は8月にバーゼルの本社で行われる世界大会に出場できる。2011年の世界大会には24か国から60 名の代表者が集まり、国籍もバラバラのチームを作ってしのぎを削った。また、2010年は日本人が高く評価されて個人賞を受賞し、その能力の高さを示した。世界大会選抜のために国内大会を開催する国は少ない中、なぜ日本では資金や時間を投じてまで実施するのか。「国際的に活躍できる人材を育てたいという想いがあるのです」。と同社代表取締役社長、三谷宏幸さんは語る。「研究開発やビジネスは1人ではできません。グローバル化が進み、国際的に仕事をする機会が増えた社会では自分の意見をわかりやすく人に伝え、意見をまとめる力が特に大切です。多様な価値観が当たり前の欧米と比較して、日本人はそれを鍛えるチャンスが少ないため、実社会のシミュレーションを通じてその必要性を感じ取ってほしいのです」。三谷さんが自ら現場に赴き、積極的に参加者と交流することからもその力の入れ様を窺い知ることができる。ヘルスケア業界をリードし、世界で事業を展開する同社ならではの社会貢献活動といえる。

来たれ!気概を持つ研究者たち!
バイオキャンプでの経験は自分がどのように能力を発揮し、社会に貢献できるか意識するきっかけとなる。また、過去の参加者は定期的に集まり親睦を深め、さらには後輩たちのためにバイオキャンプをより良くしようと運営を自主的に手伝うそうだ。わずか2日間の刺激が将来も続くネットワークを築き、日本の次世代を担う人材を育てるのである。
意識の高い研究者と交流を深め、経営者の考えを肌で感じ、世界中から人が集まる環境で力を試せる、このような機会は他にあるだろうか。グローバルに活躍する気概をもつ方は、挑戦してみてはいかがだろうか。

(文 市川裕樹)

Novartis BioCamp 2012 Japan
主催:公益財団法人ノバルティス科学振興財団/ノバルティス ファーマ株式会社
開催日時:2012年7月26日(19時開始)〜28日(15時終了)
開催場所:アカデミーヒルズ・ノバルティス ファーマ株式会社本社
参加者:35名(日本在住のライフサイエンス・経営学専攻の大学生・大学院生)
URL:http://www.novartis.co.jp/camp.html

ノバルティス ファーマ株式会社 代表取締役社長 三谷宏幸さん
profile
1977 年東京大学機械工学科卒業。1983 年、カリフォルニア大学バー
クレー校機械工学科、スタンフォード大学経営工学科で修士号を取得。
川崎製鉄株式会社、ボストンコンサルティンググループなどを経て、
2007 年よりノバルティス ファーマ株式会社代表取締役社長に就任。
2008 年よりノバルティス ホールディング ジャパン株式会社代表取
締役社長を兼務。