Rikejo 全国実験キャラバン 2010科学の面白さを伝える魅力
昨年より株式会社講談社が中心となって進めている理系女子応援プロジェクト「Rikejo」。これまで、理系女子Cafeを通したモデルケースの発信や、Rikejo webでの先輩リケジョ(※)Q&Aコーナーにて理系進学を目指す高校生の質問に答えてきた。
さらに今年は、若手女性研究者である先輩リケジョが全国7か所の女子高を訪れ、実験教室を通してサイエンスと理系女子の魅力を伝える「Rikejo全国実験キャラバン2010」の開催が決定した。
インターンシップとしてサイエンスの魅力を伝える活動に参加
大阪市立大学 医学研究科機能細胞形態学 博士課程3年 濱 五十鈴 さん
株式会社リバネスにて、高校生にサイエンスの魅力を伝える実験教室の企画運営に携わる濱五十鈴さんは、活動に参加した当時を「子どもたちに教えるのが好きやし、実験も大好き。だからその両方ができるなんて、そんなお得なことないやん!と、反射的に参加を決意しましたね」と振り返る。
伝えているのは“知識”ではない
実際に活動に参加しての感想は、「予想外」だったそうだ。「正直なところ、常に大学で研究しているし、子どもに教えるくらいの知識なら充分あるやろうと思っていたんです。でも、実験を通じてこどもたちに伝えているのは、ただの実験の原理や科学の知識ではなく、科学にわくわくする気持ちなんです」。実験教室をきっかけに興味を引き出すことで、その場限りでない教育につながるのだと気づいた。子どもの将来を変えるかもしれない、そんな取り組みに携わることができることに充実感を覚えるという。また、とことん伝えたいサイエンスの本質を考え抜くことで、自分の研究の面白みに改めて気づくことができるのも魅力の1つだそうだ。
もっと身近にモデルケースを
社会に出て活躍する女性にとって、出産・育児など、肉体的・時間的に不利になる場面があることは否めない。しかし、それは研究職に限らず、全ての分野にいえるはず。「女性研究者が、他の仕事よりも実現が難しいと感じてしまうのは、身の回りにバリバリ研究するような理系女性のモデルケースが少ないからではないでしょうか。研究者を目指す女子たちが、当たり前のように、将来も研究者を続けている自分を思い浮かべることができるようになることで、理系女子が活性化していく。そのためには、少し先を歩く先輩リケジョが、リアルなモデルとして身近にいることがどの世代の理系女子にも必要なのだと思います」。多様なキャリアや考え方を持ちながら、人に伝えることに興味を持つメンバーが集まるこの空間は、自分にとってのモデルケース探しにもつながっている。実際に、濱さんも活動を通して今までとは異なる視点を手に入れ、理想とする理系女性のモデルケースを見つけることができたという。
人との交流が、新たな自分を生み出す
普段は研究室にこもりがちな理系学生にとって、異なる専門性をもち、そして多様な目的意識をもつメンバーとの交流は大きな刺激になっている。活動を通じて、自分自身を見つめ直すきっかけにもなる。「人は人で磨かれるとよくいいますが、まさにここでの経験に当てはまる言葉ですね。自分に変化をもたらしたければ、新たな人と触れ合うのが一番。勢いだけで飛び出したような始まりでしたが、現在ではその選択は間違っていなかったと確信しています」。
全国7か所で行われる、リケジョによる理系女子のためのプロジェクト。この夏、新たな仲間や刺激を求めて、参加してみてはいかがだろうか。
※ 先輩リケジョとは・・・Rikejoのスタッフであり、理系の進路を選択した女性の大学生、社会人、主婦たちのことを呼びます。