未来の沖縄を創るのは君だ! 今の自分に新たな刺激を与える一日を
金城 棟啓 さん
株式会社琉球銀行 代表取締役頭取
沖縄県民から「りゅうぎん」として親しまれている琉球銀行は今年で創立65 周年を迎える。戦後の占領下から沖縄とともにあった琉球銀行が今年、初めて大学生を対象にしたキャリアイベント「りゅうぎんアントレプレナー支援セミナー」を開催し、学生の「新しい一歩」を応援する。このイベントへ込めた想いを琉球銀行代表取締役頭取の金城棟啓さんに聞いた。
地域の変化とともにある銀行
「地域金融機関は、地域とともにあります。地域が疲弊しているのに銀行が元気ということはありえない」と言う金城さん。家を買うとき、子どもが生まれたとき。人は人生において必ず銀行と関わっていく。人の人生と関わる銀行は、単に預金の出し入れを行う「金融業」ではなく、その土地の顧客の人生を総合的にサポートする「金融サービス業」に変化していくべきだ、と金城さんは考える。琉球銀行が根ざす沖縄は近年、海外からの観光客が増加するとともに、那覇空港の国際物流ハブ化に伴う県内企業のアジアへの進出が進んでいる。また、2012年9 月には沖縄科学技術大学院大学が開学し、世界各地から第一線で活躍する研究者が集まっている。「沖縄は日本で数少ない人口が増加している地域です。この土地の可能性を金融機関として引き出し、地域の発展に貢献したいのです」と金城さんは語る。
地域の次世代を育てる
銀行として、こうした時代や地域の変化に対応するように次々と新しい試みを取り入れており、留学生の採用やタブレット端末を各支店に配布して業務の効率化を図っている。次世代を対象とした地域貢献活動もその1 つだ。「りゅうぎんマネジメントスクール」では、企業経営幹部や後継者に財務諸表の見方や組織作りなど経営のイロハを伝えている。また、小学生がお金を学ぶ「けいざい教室」に加えて、昨年より「サイエンス教室」を実施している。このように、地域ぐるみで次の世代を育てる土壌を作っているのだ。「沖縄の高いポテンシャルを活かして、沖縄の若者が世界へ飛び立つ環境を作ることこそが今必要なのだと感じています」と金城さんは語る。
自分を変える一歩を
様々な変革を進める金城さんの新しいチャレンジとして、今回のイベントは決まった。目的は自ら変化する環境に飛び込むことができるアントレプレナースピリットの育成。イベントには中学3 年生で起業した新垣晴太郎さんや、自ら社会に対して行動を起している学生や団体が集う。本イベントには、文系や理系、また学年を問わず誰でも参加できる。自分よりも若い起業家や同世代の自らを向上させようとしている人との出会いが、今の自分に新たな刺激を与えることは間違いないだろう。「変化の時代においては、動かないことがリスクであり、変化を恐れずチャレンジすることが重要です。恐れを知らない若い人の未知数の能力に期待しています」と語る金城さん。「今の状況を変えて新しい一歩を踏み出したい」という想いを持つ若者の参加を待っている。(文・福田 裕士)