アイデアと情熱が未来を実現する

アイデアと情熱が未来を実現する

求人紹介サイトという大小様々なコンペティターがひしめく市場で、新たな価値を生み出し頭角を現したリブセンス。2012年に最年少東証一部上場を果たした村上太一さんと、サイエンスを軸に事業を創造する株式会社リバネスの代表、丸幸弘。これからの研究者に求められる考え方について、2人が語った。

|村上 太 一 さん プロフィール|
1986年東京都生まれ。高校時代から、創業メンバー集めなど起業準備を開始。2005年、早稲田大学政治経済学部入学。2006年2月、大学1年生で株式会社リブセンスを設立。2011年12月に東証マ
ザーズ、2012年10月に東証一部へ史上最年少25歳で上場。会社事業が何より好きで、365日仕事を楽しむ。

|丸 幸弘 プロフィール|
2006年、東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了。博士(農学)。修士課程在学中の2002年、日本初の科学教育ベンチャー、有限会社リバネスを理工系の大学生・大学院生のみで設立。代表取締役に就任。学校への出前実験教室、植物工場など次々に新しい事業を創出する、21世紀のイノベーター。

 

“あたりまえ”とは価値創造

丸:リブセンスが掲げている「あたりまえを、発明しよう。」というビジョンの、“あたりまえ” ってあるじゃないですか。それってちょっとした不満をアイデアで解決をしていくことなんでしょうか? ウェブサービスをメインに扱う企業の課題解決には、そんなイメージがあります。

村上:いえ、実は全く違うんですよ。現在の弊社の事業はWEB中心かもしれませんが、将来僕達はロボット事業に進出するかもしれないし、宇宙事業を立ち上げるかもしれない。とにかく今の世の中にない価値をゼロから創造することが、リブセンスのミッションだと考えています。「無理だよ」と言われることにも果敢にチャレンジしたいです。

丸:今ではスタンダードになった「祝い金(注1)」にしても、今まで誰もやっていなかったことを実装したことに価値があるということですね。WEBサービスから始まった「あたりまえを、発明しよう。」がこれからどういう分野に広がっていくか楽しみです。

村上:もう1つ、“あたりまえ”とは多くの人に使われるものであるということです。社名のリブセンスとは生きる意味。誰もが幸せに向かって生きています。その幸せを最大化することが僕達の幸せ、生きる意味です。だからこそ、僕達は“あたりまえ”を発明するんです。

異質をリスペクトする

丸:新しいことを仕掛けていくための技術自体が、徐々にコモディティ化しています。昔はサービスを創るのが難しかったけれど、今は比較的簡単です。ICTに限らず近い将来、専門家と非専門家の境界が曖昧になっていくでしょうね。先にアイデアと情熱を持って、やってしまった人が勝ちになる。そんな時代だから、これからの研究者にはどんどん外部と連携して、事業も起こして欲しいと僕は思っています。

村上:僕が尊敬するイーロンマスク(注2)はプログラムも書けて、デザインもでき、マーケティングもするスーパーマンです。でも彼みたいなスーパーマンは滅多にいない。だから新しい事業は違う強みを持つ“異質”同士がコラボレーションして産み出すのです。異質をリスペクトすることがこれからの時代の“あたりまえ”になるでしょう。

丸:そういう意味でも今回のリバネス研究費リブセンス賞を募集しますが、この取り組みもエッジが効いています。研究費の申請は、言葉を変えれば企画の持ち込みです。私はこんな研究をやりたいというアイデアを、研究者が持ち込んできます。その申請書を事業家が、ビジネスのタネになるかという視点で審査する。お互い握手ができれば事業家は研究費や事業化のノウハウを、研究者はアイデアを持ち寄って、両者で共有した未来を想像しながら社会実装を行っていく。それが研究者の新しい“あたりまえ”になっていくんじゃないかな。

村上:実は僕は高校3年生まで理系で物理が大好きだったんです。でも会社を作りたいという気持ちのほうが強かった。それで大学入試にあたって時間の融通が効く文系を選択しました。だからこそ、その道を突き詰めた理系研究者にはリスペクトがある。僕はリバネス研究費リブセンス賞を通じて、確かな研究力を持ちながら、世の中の他の人と協力して新しいこと生み出す研究者と出会い、サポートしたいんです。

村上さんと丸、白熱のディスカッション

徹底的に突き詰めた未来を聞かせて欲しい

丸:リブセンスが凄いところは徹底的にマーケティングを行っていること。そして実装していることですね。とにかく最速でサービスを創りあげていく。

村上:ありがとうございます。アルバイト求人サイト『ジョブセンス』のアイデアも、アイデアだけなら昔から持っていた人がいたと思います。それをきちんと実装して徹底的に広げたところが、これまでと違うところでしょう。研究者にも未来で“あたりまえ”になる研究をしている人はいっぱいいると思います。でもそれを広げている人はどれだけいるのでしょうか?広げ方次第で社会的な意味は変わってくるはずです。

丸:研究の実用化や社会実装を目指している研究者がたくさん申請してきてくれそうですね。「あたりまえフォーラム」とかひらいて申請者にピッチしてもらいましょうよ。

村上:おもしろいですね。「SFかっ!」と突っ込みたくなるような話を真剣にする研究者に本当に会ってみたい。

丸:研究者にはそういう人がたくさんいますよ。真面目にやっているからおもしろいし、尊い。研究者が解決したいと思っている課題は無限にありますから。

村上:徹底的に突き詰めた研究者が見ている、「ロマンのある世界感」に出会い、その研究をサポートしたいです。大真面目に未来の世界を語ってくれるような研究者です。未来の“あたりまえ”に出会えること楽しみにしています!

(取材・構成 武田 隆太)

注1:リブセンスの求人サイトから応募をして、採用が決まった方へ支払われる成功報酬。
注2:アメリカの起業家。オンライン決済システムPAYPAL、民間宇宙開発のSpaceX、電気自動車の開発・製造・販売を行なうTesla Mortors など多分野にわたり革命的な事業を起こし続けている。

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