ユーザビリティーが向上する 次世代シーケンス受託サービス
プラットフォームが進化する中で、次世代シーケンスのランニングコストはひと昔前と比べると下がってきており、それにあわせて10万円台で利用できる受託サービスも登場している。装置によって、得意とする解析が異なるため、必要な情報を手軽に取りたいという研究者に取っては、目的にあわせたプラットフォームを提案してくれる受託サービスの利用は、ひとつの選択肢となるだろう。ここでは、最新機種への対応も含め、現在の次世代シーケンスの受託サービスについて紹介したい。
プラットフォームの使い分けでニーズに対応
2015年1月現在で利用されている次世代シーケンサーの主流は、イルミナ社のHiSeqシリーズ、MiSeq、ライフテクノロジーズ社のIon Proton、Ion PGM、パシフィックバイオサイエンス社のPacBio RS II、ロッシュ社のGS-FLX、GS Juniorあたりだろう。ロッシュは新規の次世代シーケンサー開発から撤退することを表明しており、ロングリードでの解析は、近年飛躍的に成長してきているPacBio RS IIにその座を譲ることになりそうだ。
アプリケーションは次世代シーケンサーのメーカー各社から次々と登場しており、それにあわせるように受託サービスのラインナップも拡充している。エクソームシーケンス、RNAシーケンスなど以前からあるサービスに加えて、近年では特定のがん遺伝子をディープシーケンスするためのキットがイルミナ社やサーモフィッシャーサイエンティフィック社(2014年にライフテクノロジー社を買収)から出ており、受託サービスでもこうしたキットに対応した解析サービスが展開されつつある。常日頃から多くの問合せを受けている受託サービス各社にはノウハウも蓄積しており、解析に迷った際にはまず相談してみることが、解決の一番の近道になるだろう。
加速する最新機種への対応
上述したPacBioは、発表当時こそ扱っている受託企業が少なかったが、最近では定着しつつある。数キロベースのリード長が得られるPacBioはコンティグ数が少なく、微生物ゲノム解析の受託サービスの件数が増加している。HiSeqとのセットで解析することでde novoの解析を精度高く行うといった合わせ技も受託企業によっては取扱っている。また、イルミナ社がヒトゲノム解析専用に投入したHiSeq X Tenは、リバネスを含め一部の企業で取扱いが始まっている。大規模なヒト全ゲノムシーケンスのためにデザインされた同機種は臨床解析の現場で大きな力を発揮することが期待される。装置導入前にまずは価格を抑えてそのパワーを評価するために受託で利用するということも選択肢の一つになるのではないだろうか。
受託サービスの強みは、単一のプラットフォームに頼らず、目的に応じて最適なプラットフォームを提案できる点にある。また所属する研究機関に装置がある場合にも、得られたデータから適切に解析する部分のみ受託サービスを利用することも可能だ。リバネスでは、先に名前を上げたシーケンスプラットフォーム全てに対応しており、目的に応じたサービスの提供を始めている。迷った際には、ぜひ問い合わせてみてほしい。