【研究活性化計画】光で未来を変えてゆく 〜レボックスの光技術の実力〜
小田急線東林間駅で電車を降り、駅前の道路に立ち並ぶ商店街を道なりに歩いてゆくと、REVOXと書かれたガレージが見えてくる。1階に製品の工房、2階にオフィスを構えるレボックス株式会社の従業員は15名。人数の規模こそ小さいが、その光技術は世界の最先端を行く。同社の光制御技術はアカデミアの研究に新しい可能性を提供してくれるはずだ。
検査技術を支える世界一の光源装置
「LED光源を作ることではなく、光源をいかにうまく制御するかというところが私たちの強みです。LEDの場合、全て光の強さが同じだと思う人が多いかと思いますが、実は1つ1つ光の強さにバラつきがあります。それをソフトウエアでうまく制御して、全体で一定の強さの光源に仕上げる。この技術で評価をいただいています」。同社代表取締役CEO 鎌田英洋氏は自信を持って語る。それは世界市場からの評価にも現れている。大型のディスプレイなどに用いられる液晶パネルはバックライトをつける前のパネルができ上がった段階で、液晶の光の透過性や反射率などを検査している。この検査用光源として同社のLEDが採用されるようになってきているのだ。3000mm(ヨコ) という基板上に数百個並んだLEDライトを、照度ばらつき±2%以内、かつダイナミックレンジ1:100という、業界では無理だといわれていた精度で実現している。これだけの基準を満たすものは同社の技術しかない。すでに、国内以外に韓国、台湾、スイスなどの大手メーカーにも導入され、活躍している。
ニーズに応え、成長する
創業して間もない頃、ホームページでLEDを使って何でも実現しますとアピールしたところ、大学、大手企業など様々なところから相談が持ちかけられた。液晶パネル検査用のLED光源の例は、その中の1つだった。検査装置の本体を製造しているメーカーとのディスカッションを重ねる中で、ニーズが世界一の技術へと昇華していったのだ。大学でみると、生命科学や材料科学などを中心にすでに40 研究室近くから相談を受け、装置を導入してきた。例えば、イネの培養をLED光源で行うために、単位面積ごとの光量子量が同じになるように装置を最適化してほしいというニーズに合わせて光学系を組み立てたこともあるそうだ。「例えば、10cm離れたところで単位面積あたりの均一光を作り出したり、温度変化に伴う照度変化を補正して常に一定量の光が当たるようにしたり、といった話になってくると当社の強みが十分に発揮できるようになってきますね」。安定した光環境で実験したい者にとって、この言葉は心強いはずだ。
次の未来への一歩
「この基板はLEDを25 個、100 個と配置して光を作り出すといった簡単なキットなのですが、我々が光の作用に関する研究の未知・未踏の領域に研究者の皆さんと一緒に踏み込んでいくための大事な一歩だと考えています」。こう語りながら鎌田氏は、パワースペクトロライト(図1)の基板を見せてくれた。同じ波長のLEDをセットすることはもちろんのこと、例えば可視光・非可視光領域の波長をうまくブレンドして光を作り出すことも可能だという。さらに、最近では大電流に対応したLEDなどこれまでになかった特性を持つLEDも現れている。こうした新しい機能を持ったLEDを電気的にどううまく制御して、ハードとソフトで最適な光を作り出していきたいと鎌田氏は意気込む。すでに、大電流に対応して、マイクロ秒の高速で点滅するLEDのシステムにも着手し始めている。
「今年から会社の名刺に『光で未来を変えてゆく』という言葉を入れました。光の作用に関しては、まだまだわかっていないところが多くあると思っています。そうしたわからないことの解明のために、私たちの技術を役立てていきたい。光で科学の世界を盛り上げていきたい。そう考えています」。鎌田氏らの技術力と研究のアイデアが交わるとき、新しい技術が生み出されるに違いない。