エネルギー問題を根本的に解決するたった一つの方法:宇宙太陽光発電

エネルギー問題を根本的に解決するたった一つの方法:宇宙太陽光発電

少し前の本ですが、読み応えのある本です。おすすめ。

JAXA|福室康行 宇宙での太陽光発電、実用化に向けて

こちらも参照のこと。

ディスカヴァー・トゥエンティワンのディスカヴァー・サイエンスシリーズの新刊。
宇宙太陽光発電所読了。

最近、仕事上では宇宙教育プロジェクトという教育活動をプロデュースし、今書いている企画書も宇宙に関することだったり、宇宙兄弟にはまったりと、なんやかんやと宇宙に心の数%を持って行かれていたところに献本いただいてしまったのだが、一気に読んでしまった。
結論から言うと、いくつか次元の違う話が盛り込まれており、且つ夢物語で終っていないところが非常に興味深い一冊。

目次
はじめに
第1章 どうなる?現代文明

  • 問題1人口
  • 問題2生存物質
  • 問題3エネルギー
  • 豊かな社会と地球の破産とのジレンマ
  • 病める地球の治療法とは?

第2章  わが国の宇宙開発の現状

  • 宇宙フロンティアの拡大までの歴史
  • 世界の宇宙開発の足跡
  • 私の宇宙科学研究の一端
  • 宇宙太陽光発電所(SPS)とマイクロ波送電技術への私のあゆみ
  • 宇宙科学の目的は何か
  • 地球閉鎖系文明から宇宙開放系文明へ

第3章 宇宙太陽光発電所(SPS)構想とはー「病める現代文明」救済の国家戦略
日本よ、決断せよーーエネルギー小国から宇宙エネルギー大国へ

  • 宇宙太陽光発電所(SPS)とは
  • マイクロ波エネルギー伝送技術とは
  • その先の宇宙立国へ舵を切れ

おわりに

筆者の松本紘教授は京都大学の現総長。
宇宙圏のプラズマの研究などをしている。詳しくはWikipediaへ。

この本で気付かされる一番大きなことはなにかというと
人類は既に存続の危機にひんしているということだ

まぁ誰もがうすうすは気付いているが無視している問題。
人口増に伴う資源の不足
これである。

将来的に問題が起きる分野をシンプルに三つに分けたのは分かりやすい

  • 人口増
  • 生存物質の不足
  • エネルギー不足

これらは行き詰まり問題と言われ、現在の科学ではまだ解決できていません。
当書籍で解決すべく提示しているのは最後に書いてあるエネルギー問題です。
ただ、それにより、周辺にある生存物質不足や人口問題もある程度解決する可能性を感じます。

また、これらの問題は実は遠い問題ではないというのも実は重要です。
今現在年金生活に入っているような年齢であれば今のままでもいいのかもしれませんが、今後50年程度生きるような場合(僕を含め)、きっと生きているうちに問題を実感するときが来るのです。

それを実感する部分としては文中

「地球に優しい」は免罪符?の件に書かれていました。
(P.71)しかし、ここで注意すべきことは、「地球にやさしい○○」などのキャッチフレーズを冠した商品の開発や環境調査の大々的研究が、地球の環境問題、地球の抱える資源・エネルギー・食糧問題などを解決するという錯覚を人々に与えてしまっているということです。
 これらの環境対策はヘタをすると、中世の「免罪符」のようになりかねません。免罪符を購入すればそれで問題が解決すると考えた中世のようになってしまってはいけないのです。「地球に優しい」といった程度の努力では、急速に悪化している人口爆発、食糧危機、エネルギー不足などの前にはあまり意味はなく、自体ははるかに深刻だということを認識する必要があるのです。 

これは非常に重要な問題提起です。
そもそも一般の人は、現在の世界がなにゆえ成り立っているかにまで想いを馳せる時間など無い。つまり気にしていないと言える。その一方で、エコに代表されるキーワードには敏感だ。
浸透してしまったキーワード「サステナビリティ」。
だが、もはやサスティナビリティという(著者に言わせると)不十分な(甘い)言葉では対応できないところまで来ていると警笛を鳴らしている。

前半はこのように、現状認識スタートする本書であるが、後半は本質に迫っていく。

エネルギー問題を根本的に解決するたった一つの方法
(写真:Wikipedia)私が一番驚いたのは何かと言うと、そもそものエネルギー問題全てを地球上ではなく宇宙から解決するというアプローチだ。単純に面白い。
静止衛星軌道上に、太陽光発電所を設立し、集まったエネルギーをマイクロ波に変換して地上へと送信する。電力の受信部となるレクテナはそれこそ巨大な土地に作る事になるが、既にある一定の範囲に、遠方からマイクロ波を当てる技術は確立し、応用を待つばかりだという。
発電容量も、規模により原発をも上回ることが可能となる。

地球の寿命を考えると、太陽エネルギーというのは無限と言っても良いはずだ。地球に埋蔵された限りある資源を使うのではなく、そもそも無限にあるものからエネルギーを生み出す。これが地球上で消費されるエネルギーを上回ることができれば、現在人類が直面するエネルギー問題は資源問題という頭の痛い問題を回避して一気に問題ない分野になることが出来る。
それってすごくないですか?

エネルギー問題が解決してしまえば、人口問題と食糧問題に集中できる。
人類のリソースの配分が全く変わってくるだろう。

人類という大きな話をしてきたが、これは国家戦略としても重要だと筆者は言う。
何しろエネルギーだ。
端的に言えばビジネスになる。
余剰エネルギーを多く持っているエネルギー大国になるチャンスがそこにある。
なんとも面白いチャンスだなと僕は思うのです。

最後に
この本を一気に読んだきっかけは実は、書籍の冒頭に書かれていました。
僕は100年後にも残る会社をと考えて今のリバネスを動かしていますが、著者の松本先生は、宇宙事業の1000年後の姿までを考えていた。
まぁやっていることがそもそも長期スパンのものが多いのでそうならざるをえないのかもしれないが、さらっと「宇宙圏が本格的に利用されだすのは2050年~2100年頃だろう」とか書かれてしまうと、ちょっと心が踊ってしまう自分がいる。

宇宙兄弟は2030年頃の話を書いているが、ここに書かれているのはその先の話だろう。ただ、うまく合致するような気がしてしまうのは僕だけなのかな。

地球の未来に興味を寄せている人は是非手にとってほしい一冊。
単純に宇宙の話が読みたいなという人も面白いと思います。
ただ、ちょっと説教じみてる所が散見されるのは、松本先生のキャラなのだろうと思っておく。

編集者はディスカヴァー・トゥエンティワンの三谷さん。献本ありがとうございました。
こうやってサイエンスに興味をもつ人がどんどん増えていくことを願ってやみません。

因みに、宇宙兄弟すごく面白いです。感動ですよ。こっちは物語ですけどね。