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数学の楽しみはストーリーの中に 安富健児

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立命館大学 理工学部 数理科学科 安富健児准教授
立命館大学 理工学部 数理科学科 安富健児准教授

「数学記号は英語の略記号でしかない。基本的に数式は単なる文章なんです。」高校時代は国語が得意だったと言う安富先生。文章を読むように、数式の中のストーリーを読み解きます。

道路を色分けしよう

立命館大学 理工学部 数理科学科 安富健児准教授
立命館大学 理工学部 数理科学科 安富健児准教授

点と点を結ぶ矢印があるグラフで、どの点からも同じ数だけ矢印が出ている図を同次有向グラフといいます。
たとえば点が4つ、各点から矢印が2本ずつ出ているとします。
各点から出ている線の数と同じ数、つまり2種類の色(赤、青)を使って、各点から出ている線を色で塗り分けます(カラーリング)。
このとき各点から同じ色の矢印は1本しか出ていません。
赤という号令をかけると、各点から赤の矢印に沿って移動します。
ある号令(たとえば赤、青、赤、赤、赤という号令)をかけたときにどの点からスタートしてもひとつの点に到着する。
そんなカラーリングが存在するかどうかという問題を、矢印を道(ロード)に見立ててロードカラーリング問題といいます。
この解はマッピングやコンピュータ科学など実生活へも応用できるだろうといわれています。

色分けと確率がシンクロする

2008年、イスラエルの数学者がこの問題が成立することを証明した話を聞いたとき、安富先生は頭の中で確率の問題に置き換えていました。
たとえば、出発点Aからは1/3の確率で点Bに、2/3の確率で点Cに移動し、出発点Bからは1/6の確率で点Aに、1/6の確率で点Cに移動し、2/3の確率で点Bにとどまる…というように点から点へ移動する確率が決まっている状況を考えます。
ここで、それぞれの確率を通分してみると、出発点Aからは2本(2/6)の矢印が点Bに、4本(4/6)の矢印が点Cに向き、出発点Bからは1本(1/6)の矢印が点Aに、1本(1/6)の矢印が点C、4本(4/6)の矢印が点Bに向いている、つまり、どの点からも6本の矢印がでていると読み替<か>えることができるのです。
すると、どの点からも同じ数だけ矢印が出ている同次有向グラフに確率の問題が対応するということがわかります。
2010年、安富先生は、確率論を使った、ロードカラーリング問題のもうひとつの解法を発表しました。
ロードカラーリング問題と確率の問題という一見異なる2つの問題に潜んでいた共通するストーリーを読み解き、証明してみせたのです。

数学者は数学嫌い!?

「新しく聞いたことが自分の中のわかっていることとシンクロしたときが1番楽しい。」

電気工学を学んでいた高専時代から数式を扱うことが多かった安富先生ですが、当時使っていた「数学」は楽しくなかったと言います。
「数式を変形して解くパターンをひたすら習熟していたように思います。
なぜこの変形すると答えを導けるのかという説明がまったくないんです。

数学はなぜかを考えるから楽しいんです。

なぜ?と興味を持つ人は、高校の数学はむしろ嫌いなんじゃないかな。
そういう人のほうが数学の研究者には向いているかもしれませんね。」
どの解き方をすればどうして解けるのか、数式の中にあるストーリーを楽しみながら、安富先生は研究を続けています。

 

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