太陽光をレーザーに変換出来ると見えてくる未来 北海道大学

太陽光をレーザーに変換出来ると見えてくる未来 北海道大学
太陽光のエネルギーを高効率でレーザー光* に変換できる Cr,Nd:CaAlO4 結晶

太陽光のエネルギーを高効率でレーザー光* に変換できる Cr,Nd:CaAlO4 結晶

北海道大学のプレスリリースによると、太陽光をレーザーに変換できる新しい結晶の開発に成功したとのこと。

太陽光というのは、地球に大量に降り注いでいるエネルギー源だが、その波長・位相・方向がバラバラでありエネルギー密度が薄い。
一方、レーザー光はそれらが揃っており、極めてエネルギー密度の高い光だ。

自然には存在しないレーザー光。現在は、発振器を使って人工的に作り出しているが、今回画期的なのは、この結晶に太陽光を照射することで、極めてエネルギー密度の高いレーザー光へと変換出来ることだ。

今までの材料では、太陽光を効率良く吸収し、レーザー光へと変換することが出来なかった。この材料を用いることで、その点が解決する。

そうするとどうなるだろうか。

太陽光の集光はレンズを通して行えば良い。虫眼鏡の実験からも分かる通り、レンズを通った太陽光で、熱を発生させることを出来ることは知っていると思うが、それはいくら集めてもレーザーにはならない。

今回創りだした結晶を通すことで、太陽光がレーザーへと変換されるのだ。その他のエネルギーを必要とすること無く。

リリースにも出ているが、これは持続可能なエネルギー源としての応用へと繋がる事が期待されている。
レーザーを用いることで、海中に豊富に存在するマグネシウム源からマグネシウムを取り出す事が出来るし、光触媒を入れた水から水素を取り出すことが出来るようになるだろうと考えられている。

金属マグネシウムは非常に大きな化学的エネルギーを内包しているし、水素ガスは燃料電池の原料として大変重要な資源だ。

これが、太陽光で生み出すことが出来れば。それは持続可能なエネルギー源となりうるのではないだろうか。

 淡々と書かれたプレスリリースだが、世の中に影響を与えそうな技術になるのではないかと、期待してしまう自分がいる。

北海道大学大学院工学研究院 樋口幹雄准教授と理化学研究所基幹研究所光グリーンテクノロジー特別研究ユニット 和田智之ユニットリーダーらの研究グループは,太陽光のエネルギーを高効率でレーザー光* に変換できる Cr,Nd:CaAlO4 結晶の開発に成功しました。この結晶は,太陽光のエネルギーが最大となる波長帯近傍の波長(500nm)で十分に大きい吸収を示すとともに,従来材料の吸収が最大となる波長(430nm)で比較すると 70 倍以上の吸収断面積を有することから,高効率で太陽光エネルギーを吸収できるとともに,その吸収したエネルギーにより近赤外領域で強い蛍光を示
すもので,特許出願しています(特願 2012-148655)。
この結晶を使ったレーザーは,エネルギー蓄積の媒体として注目されているマグネシウムの精錬などに利用できることから,新しい持続可能なエネルギー源としての応用が期待できます。


太陽光を高効率でレーザー光に変換できる Cr,Nd:CaYAlO4 結晶を開発 北海道大学