双翅目昆虫 キイロショウジョウバエ

双翅目昆虫  キイロショウジョウバエ
小さなビンで簡単に大量に飼育できる。

小さなビンで簡単に大量に飼育できる。

生ゴミを放っておいたらハエがわいてしまった。

「ハエって汚いな……」と思われがちですが、じつはとてもきれい好きです。
猫が毛づくろいをするように、肢を器用に使っていつも顔や翅(はね)を清潔に保っています。
また、生ごみにわいたハエをよく見ると、その中に体長3mmほどで赤い眼をしたコバエが見つかります。
このコバエこそがキイロショウジョウバエ。
私たちを病気から守る、救世主になるかもしれない存在なのです。

特徴は,顔の大半を占める赤い眼。

特徴は,顔の大半を占める赤い眼。

キイロショウジョウバエの遺伝子は、古くから研究されてきました。
複眼や触角は肢や胴部ではなく必ず頭部につくられますが、それはHox遺伝子群と呼ばれる10個足らずの遺伝子によって、どこに何ができるかという「位置情報」が精密に制御されているためであることが知られていました。
その後、なんとヒトのからだのつくり方も、ハエとまったく同じHox遺伝子群によって制御されていることが明らかにされました。
触角も翅も持たず、見た目がまるで違うヒトのからだが、ハエと同じしくみによってつくられていたのです。

この発見により「ハエを調べればヒトのことがわかる!」という期待がふくらみました。
現在では、ヒトで見られる複雑な生命現象を、ハエを使って解明する研究が進められています。
たとえば、アルツハイマー病。 ヒトでは多くの場合、高齢になってから発症する病気ですが、ハエでは2週間ほどで症状が現れるため、とても速く研究を進めることができます。
この成長の速さは、研究の分野ではとてもありがたい特徴だったのです。
近い将来、難病といわれいまだ謎の多いヒトの病気のしくみが、ハエのおかげで解明されることでしょう。 医学の発展に役立っていると考えると、ハエがわいても許してしまうかもしれませんね。