タッチいらずで改札スイスイ
電車に乗って学校に向かうために、駅へ。
「遅刻しそう!」と走り、改札で「定期券、 どこにいった!?」——そんな朝でも、かばんの中を探す必要はありません。
未来の改札では、定期券のカードを衣服のポケットに入れておくだけでいいのです。
カードはもう、かざさなくていい
未来の改札では、人が近づくだけで、カード を持っているかどうかを判別。
カードが信号の 発信機になり、床に埋め込まれている受信機に 定期券区間や期限、チャージ残額の情報を送り、 ゲートを開いてくれます。
そのしくみを支えているのは、じつは私たち 自身のからだです。
たとえば、頭と指先、また はからだと周りにある空気や地面とは、電気的性質が異なります。
そのため、わずかな電圧の差があり、弱い電場(電界)がからだを覆っています。
その電界を利用した情報通信技術が「人体近傍電界通信」です。
改札の通信機器が埋め込まれたエリアに踏み込むと、ポケットなどに入れて身につけているカードから情報が発信され、それに合わせてからだを覆う電界の強さや分布が変化します。
改札機側の受信機がその変化を読み取ることによって、カード自体を接触させなくても信号の送受信ができるのです。
からだの表面から数 cm の範囲で通信できるため、ポケットからカード を取り出さずに認証することができます。
触れたらつながる、情報の通り道
人体近傍電界通信は、からだの周りで変化す る電界に信号を乗せるので、ペースメーカーな どからだの中に埋め込まれた電子機器に与え る影響が少なくて済みます。
また、床下だけで なく、壁や棚など「手で触れる」位置に受信機 をつけることもできるため、改札の他にも自動 販売機や、建物の扉の鍵などにも利用が考えら れています。
他には、どんなところに使えるでし ょう。
からだを通じて信号を送れる、ということ は、握手をしただけで携帯電話の番号を交換で きる——、なんて未来が来るかもしれませんね。