若手研究者の知恵を募り未来を生み出す リバネス研究費にかける想い

若手研究者の知恵を募り未来を生み出す リバネス研究費にかける想い

2009年に若手研究者を対象に立ち上げた民間主体の研究費であるリバネス研究費は、これまでに15回44賞の設置を行ってきた。民間企業が資金を出しあい、「若手研究者応援プロジェクト」という枠組みの中で若手応援を行なっていく。そこにはどんな想いで、企業が参加しているのか。今回、リバネス研究費の立ち上げ人である株式会社リバネス代表取締役COOの高橋修一郎が、その想いと狙いを語った。

研究費で人と人の繋がりを作る

若手研究者に研究費を出そうと考えた元には、私たちリバネスが、アカデミアの世界に向けて何か貢献をできないかという想いがありました。リバネスは、もともと大学院生を中心とした若手研究者が立ち上げた会社です。アカデミアの中で育ちながら、企業として産業界の考え方も学んできた私たちが、新しい形の産学連携を始められないか。そう考えたとき、産学連携とは本質的には「人と人」との繋がりを作ることであり、人材育成の観点が本来であると思い至ったのです。新しいアイデアを持った、しかし実績はまだ持たない若手研究者に対して、そのアイデアを実現するための支援を行うことはできないか。そうして考えたのが、若手研究者向けの研究費です。当時は会社としての規模も今よりも小さく、自社で研究費を運営することは大きな挑戦でしたが、社員全員が賛成してくれて、2009年3月に第1回リバネス研究費を立ち上げることができました。

株式会社リバネス代表取締役COO 高橋修一郎

株式会社リバネス代表取締役COO
高橋修一郎


若手研究者の知恵で、企業を活性化する

第1回リバネス研究費には、日本全国から多くの申請を頂きました。研究や教育に熱い申請者の方々で、そのプレゼンの場の空気は今でも覚えています。自ら積極的に研究費を獲りに動く若手研究者の熱意と能力の高さは、目を見張るものがありました。集まった申請書を読み込んでいくうちに、産業界側からの「応援」だけでなく、若手研究者とのつながりが企業の研究開発や商品設計への良い刺激になるのではないかと考えました。そのアイデアを、懇意にしていた企業の方々に話したところ、ぜひ自社でも研究費を出し、若手研究者とディスカッションする機会を作りたいと言ってくださったのです。リバネス研究費で大切にしているのは、参加企業の興味は特許や知財ではなく、研究者にフォーカスしているということです。将来有望な若手に投資し、その知恵で自社へのフィードバックをもらう。そこにメリットを認める企業だけが参加しているからこそ、ここまで継続して来ることができました。

発展し続けるリバネス研究費

今後は、リバネス研究費で繋がった若手研究者と企業との間で、研究支援の枠組みを広げる新しいコラボレーションを生むことができればと考えています。また発展的には、自分の研究テーマを推進することが、そしてその内容が企業の目に止まることが、自分の今の研究生活を充実させるばかりか、将来のキャリアに繋がる、そんな形にも広げられるのかもしれません。熱意ある若手研究者の知恵は、宝の山です。そこに投資し、育てていくことが、若手研究者自身にとっての機会創出や産学連携の創出だけでなく、挑戦的・革新的な研究の加速、そして科学技術の発展と地球貢献へと繋がっていると信じています。今回でリバネス研究費は第15回目を迎えます。遠くはアフリカからも申請書が集まってきています。エッジの効いたアクティブな若手研究者こそが新しい科学を生み出すと私たちは信じています。