無限の可能性を秘めた、小さな機能部品
マブチモーター株式会社 秋山亜祐子さん
子どもの頃から地元の企業としてマブチモーター株式会社の名前は知っていた。就職先として意識したのは、初めて受けた同社の説明会だった。「モーターの可能性に惹かれて入社を決めました」と、当時を振り返る。秋山さんが感じた魅力とは何だったのか。
無限の可能性を秘めた、小さな機能部品
1954年の創業以来、一貫して小型モーターの製造販売のみに注力し続け、実に年間約17億個を製造している。なぜ54年間もモーター一筋にこだわり続けているのか。その理由は、20?30程度の部品からなり、最小直径6㎜という小さな体に秘められた無限の可能性にある。ドライヤーのファンに使われているような単純な回転運動を作り出すものが多いと思われがちだが、実は、ギアの種類とつなぎ方を変えるだけで、直線運動を作り出し、車のパワーウインドウやドアロックに、さらには、回転により振動を発生させることで、ゲーム機のコントローラーやウェットシェーバーにまで使われている。世の中の便利グッズは、全てモーターの働きが支えているといっても過言ではない。小さな部品だが、その可能性は計り知れない。
モーターに魅せられて異分野の世界へ
秋山さんは、学生時代は化学系の研究室に所属し、真空装置を用いてメタンガスからダイヤモンドを生成するという研究に取り組んでいた。卒業後の進路選択を考え始めた頃、地元の企業で昔から名前を知っているという理由から何気なく参加した同社の入社説明会。そこで、その後の将来を決定づけることになるモーターとの出会いがあった。その日から、日常の生活の中で活躍する小さな機能部品に魅了され、入社説明会から1年後には、全く異なる分野の世界へと足を踏み入れることになったのである。
多様なニーズを形にする
現在は技術本部で製品開発を担当している。製品開発の醍醐味は、「お客様の要望に合わせてモーターの性能をどう活かしていくか、その方法を考えること」。様々な使われ方をするからこそ、お客様の要望も多岐に渡る。使用時に音が静かなもの、回転数の変化が少ないもの、寿命が長いものなど、数あるモーターの中から用途に合わせて最適なものを選択し、ニーズに合わせた提案を行う。要望にマッチしたものがない場合には、新製品を開発することもあるという。「自分が関わった製品が店頭に並ぶのを見ると嬉しくなります」。笑顔で語る秋山さんが手がけた製品は、これからも世の中で活躍し続けることだろう。