幅広い視野を持つ未来のリーダーを養成
産学連携推進本部 大阪大学
ポスドクの人数が5年間で4倍に増え、約1000人を抱える大阪大学。博士課程には4000人弱の学生が在籍する。「協働育成型イノベーション創出リーダー養成」プログラムが目指すのは、博士人材が活躍する場を創出し、イノベーションを創出するリーダーとして養成することである。
幅広い視野を持つ未来のリーダーを養成
「このプログラムは、博士人材にただ企業へ就職することを勧めるものではありません」。プロジェクトを担当する藤田さん(写真)は語る。「この取り組みは、社会的な問題や革新がないと打開できない問題を解決しうる人材として博士号取得者に着目し、幅広い視野を持ったリーダーとして育成するものです。企業が解決を要する課題に対し、若手研究者を全国から公募し、本格的な共同研究という形で企業の価値を創造します」。大学の外側に博士が活躍できる場を作り、イノベーション創出と人材養成の相乗効果を推進する構想は全国でも類を見ない。
コミュニティが生む活躍の場
プログラムの最大の特徴は、大学が中心となって産業界および社会との間にパイプラインを形成する「イノベーションコミュニティ」だ。同コミュニティは、新事業や新技術の創出を志向する企業や自治体、NPOなどにより構成される。コミュニティの構成員が設定した具体的な事業課題に対してプロジェクトを形成し、課題・問題発掘と解決の場として機能する。さらに共同研究を行う企業が養成人材の育成者を配置することで、効果的な成長を支援する。
博士号は、イノベーションへの第1歩
藤田さんは、修士号を取得し一度就職した後、研究室に戻り博士号を取得した。その後、大手自動車会社で研究に従事した経験を持つ。「企業では、博士号取得者には新しいことに取り組むチャンスが多く与えられる。一方で、幅広い知識が求められ、専門分野以外にもアンテナを張り続けなければいけない」。専門分野の高度な知識と他分野の知識が融合したときにこそ、次世代を見据えた研究ができると藤田さんは考える。「フロンティア精神さえあれば、博士人材はイノベーションに最も近い人材です。だからこそ、このプログラムは、活躍の場を開拓し、将来イノベーションを創出できる中心となるリーダーを養成することを目的としています」。そう語る藤田さんの視線の先に、博士の活躍する新たな未来が見えた。