【PickUp産学連携】アカデミアと町工場をつなげ、新たな研究機器を生み出すENGINEERING GARAGE

【PickUp産学連携】アカデミアと町工場をつなげ、新たな研究機器を生み出すENGINEERING GARAGE

ものづくりの町、墨田の力を活かす

江戸時代、すみだの町は隅田川や運河の水利を活かし、瓦や木材、鋳物、染色などの地場産業を発達させた。その後もものづくりの町としてあり続けたこの地域には、現在も金属加工、器具製造、プラスチック・ゴム製品製造、繊維関連業、皮革関連業など多様な製造業が数千社も存在している。
ENGINEERING GARAGEは、そんな墨田区にひしめく町工場と研究者のアイデアをつなげ、研究現場のニーズから新たな研究機器・器具を生み出すサービスだ。とはいえ、いきなり新しい次世代シークエンサーの設計を始めるような、大きく構えたものではない。まずは微細な電極を作る、大きな泳動槽を作るといったような一点物の製造や、ルーチンワークをちょっと楽にする、今ある機器をもっと安く設計・製造するといったアイデア製品づくりなどから始め、徐々に研究者と町工場のパイプを太くしていく予定である。

 

研究者と職人の知恵をつなげよう

第1弾製品は、ほんの小さなアイデアを実現した製品だった。名前は「メガコーム」。電気泳動の際に一度に流せるサンプル数を増やすため、コームの歯の数を増やしたのだ。見れば笑ってしまうような製品だが、多量のサンプルをルーチンでジェノタイピングする研究者に受け、東大や東北大、理化学研究所などに導入された。さらにこれが呼び水となり、ラット用ケージや、昆虫の行動観察用の金属器具などの相談もいただいている。

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当初は金属加工を行う町工場とつながったことから始まった、金属製品の製造。その後、墨田区で超異分野学会を墨田区で開催したことを機に、多様な事業者へとネットワークが拡大した。さらに超異分野学会の会場では、実際に研究者と職人、そして起業家がひとつのテーブルに集まり、お互いの知恵を出し合って新しいものづくりを考えるセッション「新分野ジョイント」が実施された。アカデミアや企業の研究者と、町工場の職人たち。仮にパーティーで同じテーブルに座ったとしても、共通の会話など見出せなさそうな両者だが、お互いの強みを持ち寄れば、新しい何かを生み出せるはずだ。すでにやる気に満ちている墨田区は、意欲ある研究者を待っている。

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