最先端技術で再び農業に活気を!

福島県立新地高等学校

福島県は、米やモモなどが有名な日本有数の農産物の生産地でした。
しかし、東日本大震災が起こり、津波による塩害と原子力発電所の事故による影響のため、農作物の生産・出荷が厳しい状況に置かれています。
もう一度、福島県の農業の活気を取り戻したい。そんな想いをもつ高校生の手によって植物工場の研究が始まりました。

被災地の農業復活の手がかり

被災地で今注目されているのは、室内で農作物を育てることができる植物工場です。植物の成育に必要な光、水、温度、養分などを調節し、天候や土壌の条件に関係なく計画的に農作物をつくることが可能です。外の環境との接触がないため、被災地での農業再生の手がかりとして期待されています。しかし植物工場でこれまで福島県でつくってきたような様々な農作物をつくるにはある課題をクリアする必要があります。

植物工場の課題に挑む!

植物工場では、土を使わずに栄養液を吸水させたウレタンで野菜を育てる「水耕栽培」が主流です。この方法でニンジンなどの根菜を栽培すると、根をしっかりとはることができず、形が不ぞろいになってしまい、売り物にできません。現状はレタスなどの葉ものに限って栽培がされていま す。そこで新地高校では植物工場で根菜を安定して育てるため、土の代わりになる培地を数種類選び出し、ラディッシュを栽培する研究を始めました。「土の条件に近い培地を選び仮説を立てるのがおもしろい」と研究メンバーの菅野友梨絵さんは話します。今後も様々な培地を試していく予定です。

地元の農業のリーダーへ

福島県では、すでに植物工場が稼働し、農作物の出荷が始まっているところもあります。この研究を行っている新地町でも建設の予定があります。「この研究を続けていく中で、将来的に地元を引っぱっていくリーダーが現れてほしい」とこの研究プロジェクトを立ち上げた高村泰広先生は語ります。研究の視点をもち、最先端の植物工場を扱うことができる、彼らが活躍することで福島県の農業に再び活気が戻ってくるかもしれません。(文・宮内陽介)

東北バイオ教育プロジェクト、活動中!

Producedby協和発酵キリン株式会社

協和発酵キリン株式会社では、岩手、宮城、福島の3県の高校において、今後のバイオ産業を担う次世代を育成する「東北バイオ教育プロジェクト」を行っています。高校生が自ら研究テーマを考え、実験計画を立て、結果から考察を導き出す、本格的な研究活動を実践したい学校を支援します。 2013年度の参加校募集中!→http://p.tl/WGmp