未来を切り拓いていく次世代の職人を研究現場に掛けあわせたい
墨田区内では、この20年間で1万件強あった製造業者が3分の1にまで減少している。高齢化や技術の陳腐化、リーマンショックの影響等、様々な理由によって製造業者が打撃を受け、廃業のスパイラルは今もなお続いている。
この7月より墨田区より委託を請け色々な町工場を訪ねた感覚では、減少の原因として大きいのは高齢化だと感じる。高齢化というのは、事業者の年齢だけではなく、そのビジネスモデルも含んだ高齢化だ。右肩上がりの時代に輝きを放っていた事業者の多くは、スピードが上がり続ける時代の流れについていけず、成長を続けることが出来なかった。下請けとして手一杯な毎日で、なかなかビジネスモデルの刷新が出来ず、グローバル化等によって事業が先細っていく。
新規事業を始めるという発想が無いという事業者も少なくないのには、リバネスという新事業を次々に立ち上げながら進むベンチャー企業をやってきた身としては衝撃を受けた。「かつてはそれでも食べていけた」。その「かつて」を引きずっていた。
一方で、明るい兆しもある。それは元気な若手のいる事業者がいるという事だ。
例えば二代目が大学を卒業して帰ってきたような事業者がいる。IT化を進め、積極的に新商品を生み出すという姿勢がある事業者がいる。面白いことを一緒にやろうとしている事業者がおり、貪欲だ。
町工場は精度の高い品物は作れるが、大量ロットには対応しにくいという事が多い。一方で研究現場は大量のものは要らないが、精度の高い研究資材が必要となる。
今までお互いに接点のなかった二者が「研究現場」で出会う。若く、事を起こすことにハングリーな次世代の職人たちが、研究現場に何かをもたらしてくれるだろう。その接点を作りたい。