小さなエンブレムに込められた「こだわり」

車やバイクはもちろん、オーディオ機器、ゴルフクラブ、それぞれの商品のブランドを象徴するエンブレムは、高級感の演出や高性能、高品質などを消費者に訴える。

デザインはもちろんのことだが、言われてみないと分からない、一見しては気づかないような細部の「こだわり」までも具現化する日本の町工場の技術力がその訴求力を生み出している。

本質的な機能のみに関心を払う消費者にとっては、数センチサイズのエンブレムなどは単なる飾りかも知れないし、その細部のこだわりなどは興味の対象にすらなっていないかも知れない。

しかし、小さな文字の細部の作りこみをよくよく見て欲しい。何ミリという小さな文字の、例えば、「A」という文字の中の三角形の鋭さなどに着目して欲しい。お手頃価格なものと、ちょっと奮発したぞと思える商品とでは、やはり違いがある。良い物のエンブレムは、かなり高い技術力がなければ作ることが出来ないであろうことが素人目にも明らかだ。

この無駄ともいえるような一見気づかないような細部の品質の高さはその商品全体を象徴する。その細部において手を抜くような商品は、その他の本質的な部分においても手を抜いている商品に違いないからだ。そして我々は無意識にその細部までもこだわり抜いた風格に惹かれて、高級感や安心感を抱く。

廉価で大量消費されるものと一線を画すこだわりのものづくりは日本品質を支える町工場の職人の心意気ではなかろうか。