日本の研究環境に対する満足度は最低ランク@2010年

2010年という事で震災以前と、隔世の感があるがnatureの調査結果にある。

最下位だったのは日本で、各項目の「非常に満足」の割合は極めて低く、退職金制度に対しては2パーセント、独立性については10パーセントだった。

調査サンプルの多い16カ国の内の堂々の最下位なのだ。

  1. デンマーク
  2. オランダ
  3. スウェーデン
  4. フランス
  5. スイス
  6. ドイツ
  7. カナダ
  8. 英国
  9. オーストラリア
  10. スペイン
  11. 韓国
  12. イタリア
  13. インド
  14. 中国
  15. 日本

前置きにはこうあるのだが「確かに日本などは、満足度を低く見積もる国民性があり、データをそのまま受け取ることは避けたい」それにしても最下位とは。

ひとまずこういった国民性みたいなものもあるので、順位の話は置いておいて、幸せな研究者、不幸せな研究者の違いはどこだろう。

研究者の満足度は、その地位に比例するようだ。

学術研究機関のキャリアステージと満足度

学術研究機関のキャリアステージと満足度

2010年当時はインドや中国は、研究者の環境が良くなく、そのせいで優秀な頭脳が海外流出をしていた。

国際連合開発計画(UNDP)によると、インドではコンピューター技術者のアメリカへの移住によって、毎年20億ドルの損失が生じていると推定されている。また、外国に留学するインド人学生によって、毎年10億ドルの国際収支の欠損が生じている。

中国でも頭脳流出は深刻化しており、特に2000年代後半から、アメリカカナダオーストラリアを中心とする西側諸国への移住が増加している。2007年には、中国の移民流出人口は世界最大となった。中国メディアの公式発表によると、年間でアメリカに65,000人、カナダに25,000人、オーストラリアに15,000人の中国人が移住したとされる。その多くは、国の発展を支えるべき中流階層の専門職である。中国は世界で最も深刻な頭脳流出の影響を受けており、外国の大学に進学した学生のうち10人中7人は本国に帰らないとの調査結果がある。

頭脳流出と言えば日本も当然例外ではない。何しろ最低ランクなのだから。記憶にあたらしいニュースといえばこれらだろう

東大・中内教授:iPS有力研究者が米国流出 @2013.9.5

だが、中内教授は、規制によって研究が2年半停滞したと指摘し、「もしこの研究しかしていなかったら、とっくに海外に移っていただろう」と明かした。「今後指針が改定されるとしても実施までは何年もかかる。リスクをとらないという日本特有の体制では、新しいことはやりにくい」と語った。

指摘するような体制では、優秀な頭脳ほど、快適な地を求めて日本を離れていく。満足度が高いとされている教授職でも、研究環境が満たされないという事では、満足も何もない。研究者の精神とはそういうことなのだろう。