緊張していることが伝わらないプレゼンテーションのコツ
どうやら私は、プレゼンテーションをしている時、緊張しているようには見えないらしい。でも、内心はもうドキドキである。普段は、ポーカーフェイスというよりもどちらかというと感情がすぐ顔にでるタイプだ。それに、人と話すのは好きなのだけれど、人見知りというなんとも矛盾した性格。そんな私がプレゼンテーションでは堂々と話せるのは経験に裏付けられているのかもしれない。
高校生の時には、特にプレゼンテーションをする機会はなかった。大学に進み、環境保全に関する本を読んでそれに対して意見を述べるクラスを取ることになった。アメリカ人に囲まれ、英語もまだそれほど自由に使えない私は不安に駆られた。クラス1日目、ファシリテーターの役の学生が内容について概要を述べるとディスカッションが始まった。そこで私は思わず「へ?」と思う場面に遭遇した。こういう場では、何か意味のある発言をするのが良いのだろうと勝手に思い込んでいのだ。しかし、実際に蓋を開けてみるとそれぞれの学生が好き勝手に発言を始めたのです。さらに、教授は議論の核心に関係ない発言をしている学生に対しても発言をしたことを褒めた。つまり、日本的な「沈黙は金、雄弁は銀」は通用しないのだと改めて気付いた。
Do as the Romans doという言葉の通り、相手に伝わりやすい、理解されやすい方法があるのであればそれを利用しない手はない。アメリカでの経験を活かし、オーストラリアでは授業中での発表や学会に参加をしては、意見の述べ方や表現方法など「いいな」と思う点を真似るという方法でプレゼンテーションの練習を重ねてきた。しかし、見ているだけではなかなか上手にならない。そんな矢先、指導教官に「南半球鳥学会で発表をしてみるか?」と声を掛けられたので二つ返事で「はい」と答えた。後で聞いたらこの時、指導教官は私がまだ早いですと答えると思っていたらしい。そんなこともあってか、当日は指導教官が発表すると思った主催側が一番多きなkeynote speakersが話す会場での発表になってしまった。
その時の発表は、今考えると本当にお粗末。何故なら、その時の私は聴衆のことまで考えることが出来ていなかった。英語で発表をすること、そして調査の結果発表が目標になってしまっていた。それに気づいたのは、ほかの発表者を通してだ。学会で輝いている研究者の発表を聞いていると楽しい、ストーリがあり、その先の世界が見えてくる。そんな発表をしてみたいとプレゼンテーションする機会がある時には、心から楽しんで発表をするようにしている。そんな私の気持ちが引っ込み思案のプレゼンテーションを自信のあるものに見せているのかもしれない…