予防から診断、診断から治療へ 〜遺伝学での挑戦〜 ジェネシスヘルスケア株式会社

予防から診断、診断から治療へ 〜遺伝学での挑戦〜 ジェネシスヘルスケア株式会社

ジェネシスヘルスケア株式会社は国内の遺伝子検査キットのパイオニアだ。サービスの根底にあるキーワードは、予防、診断、治療。事業への想いと考えを中心に取締役CSRの佐藤バラン伊里氏に伺うことができた。

ジェネシスヘルスケア株式会社 遺伝学研究所 所長 佐藤バラン 伊里 氏 (さとうばらん いり)(左)と、事業推進部 シニアマネージャ 宮部 喬史(みやべ たかふみ)氏(右)

ジェネシスヘルスケア株式会社 遺伝学研究所 所長 佐藤バラン 伊里 氏 (さとうばらん いり)(左)と、事業推進部 シニアマネージャ 宮部 喬史(みやべ たかふみ)氏(右)


研究をベースにした事業

同社は個人向け遺伝子検査の企業という印象が一般には強くなっているかもしれないが、設立した2004年から研究者とのコラボレーションと、そこでの研究の成果をベースに事業を展開してきた。遺伝学の研究と検査を実施するためのジェネシス遺伝学研究所をかずさアカデミアパークに構える。同研究所では最新のシークエンサー、リアルタイムPCRやチップ解析装置などの装置も備えている。「遺伝子研究と開発、検査が一体となっている会社です」と佐藤氏。遺伝子検査に関しては、2004年から2008年頃までは、医療機関や研究機関GWAS研究及び受託解析を中心に行ってきた。一般向けのDTCサービスが始まったのは2008年からだという。先行する研究の成果を活かしたエビデンスに基づく一般向けのサービスの展開は、同社の特徴のひとつでもある。

予防を意識した一般向けサービス

「現在提供している遺伝子検査キットでは、医師会のホームページで予防法について説明がなされている疾患に関する遺伝子を扱っています。エビデンスの所存が不明確な遺伝子に関しては民間の消費者には出さないのが私どもの方針です」。例えば、現在普及しているGeneLife2012ではエビデンスと予防方法が明確な68の遺伝子のSNPを検出するカスタムチップが用いられている。

検査では、事前のライフスタイルチェックと遺伝子検査の結果を踏まえて、GWAS研究で構築した自社データベースから同社独自のアルゴリズムに基づいた判定結果を提供する。受診者は遺伝子変異の結果、オッズ比、遺伝子の機能の説明、予防方法の説明と推奨されている栄養素について知ることができる。アフターフォローにも力が入る。栄養遺伝学の知識を持つ栄養士がコールセンターで構えており、栄養学の知識を活かした予防の実践アドバイスを受けることができる。一方で、医療行為に繋がるような問合せは提携する医療機関を紹介しており、医療と予防の線引きを明確にする。

将来の遺伝子検査の土壌を作る

「これまで医師の判断、勘、マニュアルで行われてきたことに遺伝子検査の結果を加えることで、個別化医療に活かしていきたいと考えています」。そのために遺伝子検査の結果を医療に活かせる医師の増加が今後重要だと考える同社は、医学系の学会で医師向けの遺伝子セミナーも精力的に行い、理解の促進を図っている。さらに、個人が楽しんで遺伝子検査を理解できるきっかけを作りたいという想いも込めて、2013年11月1日に日本人のハプログループ判定キットGeneLife® Haploの発売も開始した。

個人、医療機関に対して遺伝子検査の理解を促進する活動と、エビデンスに基づいたサービスの提供を続けていくことで、遺伝子情報に基づいた予防、診断、治療を実現する道が拓けていくことだろう。

ジェネシスヘルスケア株式会社 http://www.genesis-healthcare.jp