海外に行くことと、理想の研究キャリアは直結しないらしい

実際には、「しっかりと目的意識をもっていないと、海外行っても意味ないよ」ということです。
先日、海外留学に関する調査をしていた時に、こんな報告書を見つけました。

日本学術会議 基礎医学委員会:提言 生命系における博士研究員(ポスドク)並びに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題(2011年)

 

コチラは、生命系に限った話ですが、生物科学学会連合に所属する25団体に呼びかけて行った、1147名のポスドク等(ポスドク並びに任期制助教・任期制助手)から得たアンケート結果をまとめたもの。様々な課題と、それに対する提言がまとめられています。

中には、「海外留学」に関する調査結果があり、なんとポスドク等の78%は海外での勤務経験がないと答えているとのこと。もうちょっと海外経験者が多い印象がありました。そして、よく聞く話ですが、帰国後の職がないこと(43%)、海外経験が必要と思わないこと(19%) などが留学をしない理由とされているようです。さらに、30〜35歳の18%、36〜40歳の32%、41歳以上の40%のポスドク等は、海外経験をもつが安定した職の獲得には至っていないとあります。つまり、30台前半の若手研究者にとって、割合だけで考えれば海外での武者修行を経ても2割りくらいは安定したキャリアには繋がらないということになる。もちろん、安定したキャリア=理想のキャリアとは限らないし、この結果が全てを表しているとは思いません。でもこれって、多いと思いますか?少ないと思いますか?

機器やメンテナンスなど、日本の研究環境は素晴らしく、アメリカなどのトップスクールにも引けをとらないという話もよく聞くし、留学経験のない一流研究者もたくさんいる。であれば、海外に留学する必要ってどこにあるのだろう?

これからポスドク先として海外ラボを考えている方、ぜひもう一度、「目的」と「意味」を考えなおしてみてください。それだけでも留学の意味がぜんぜん違ってくるはずです。