学費は6分の1!?オンライン高等教育の第2の夜明け

学費は6分の1!?オンライン高等教育の第2の夜明け

 

 

1月15日にジョージア工科大学、MOOC大手のUdacity、そしてAT&Tがジョイントで創った新しいオンラインコースが始まりました。
工学分野で全米トップ⒑大学の修士号がオンラインのみで取得可能になったということです。
しかも学費は、通いのコースの6分の1(卒業まで70万程度、通いのコースは3年で450万円位<注1>)。
MOOCによる高等教育革命、ガチで始まった感。

 

第1の夜明け:MOOCの登場

最早説明いらないとは思いますが、MOOCとはMassive open online courseの略。
今やこのプラットフォームを使って世界の有名大学の講義を無料で受講することが可能です。
10年前から、講義ダダ流しのプラットフォームはありましたが、学びの場というよりは知のアーカイブという要素の方が強かった。
しかし、2012年に立ちあがったCoursera, Udacity、EdXではオンライン上で講義、小テスト、ディスカッションなど双方向性の場を持つことが可能になり、結果MOOCは一大教育プラットフォームにのしあがりました。
世界中の誰もが、どこでも、一流のコンテンツを学べる時代がやってきたのです。
最大手のCourseraでは、今では2000万人以上(注2)が履修しています。

 

 

投げかけられる疑問

でもやっぱり無料のコースってね、挫折するんですよ結構な割合で。
各言う僕も挫折しました(泣。
挫折してもまた始めればいいので、問題ないっちゃーないんですが(強がり)。

Courseraの履修者がまだ300万人くらいの頃、コースの修了率は10%以下という記事を見ました。
有名になった今、修了率はもっと低いと予想できます。
こんな数字が出てくると、結局MOOCは新しい高等教育の形にはならないのではないか、と疑問を呈する人もいるわけです。
Udacityを立ち上げたSebastian Thrunですら、こう言います。

“We were on the front pages of newspapers and magazines, and at the same time, I was realizing, we don't educate people as others wished, or as I wished. We have a lousy product,” Thrun tells me. “It was a painful moment.”

quote from Udacity's Sebastian Thrun, Godfather Of Free Online Education, Changes Course

期待されているような、また自分が期待しているような教育をおこなっていないってわけです。
教育の革命はなされないんじゃないか??そんな声も聞こえます(もう今の段階で十分すげーと思うけど)。

 

 

第2の夜明け:低価格型オンラインコース

そんなUdacityが始めたのが、通いのコースの約1/6の費用で履修できる修士課程のコース。
今月15日にスタートしたばかりです。
Sebastian Thrun: World's First Massive Online Degree Program Starts Today – See more at: http://blog.udacity.com/2014/01/sebastian-thrun-worlds-first-massive.html#sthash.fmA5z0fs.dpuf

Today, marks the first day in class for Georgia Tech's new online Master’s degree in Computer Science program, which Georgia Tech, Udacity, and AT&T have jointly developed. This is a very big day for us. Udacity's mission is to democratize higher education. With this program, we are making a top-notch computer science education available to a much broader group of students. And we are doing this at a price point of less than 20% of an on-campus education. I believe this is a watershed moment for students around the world.

世界で初めてのMOOC型学位授与プログラム。
このプログラムを通して、最上の高等教育プログラムをより多くの人へ、ただし無料ではなく低価格で、ということでしょうか。
Sebastian Thrunの出した一つの解答のように感じます。
今までのMOOCとは異なり、低価格とはいえ費用がかかることで、修了率は嫌でも上がるでしょう。

また、アメリカでは高等教育の教育費が上がり続けていることが社会問題にもなっています。
これをMOOCと、企業からのスポンサー(今回はAT&T)で解決しています。
高等教育機関を終了したときに、借金で洒落にならんみたいな状態、この低価格型のプログラムが成功すればそんな問題はなくなるのではないでしょうか?
スポンサーであるAT&Tは、授業の中でセミナーなどするでしょうし、このコースから優先的に就職者を迎えるのでしょう。
企業にも十分WINがあります。
大学も産業界と連携した様々なプログラムを作りやすい形なんではないでしょうか?

MOOC側、スポンサー大企業、大学側、そして学生、4社が得する構造(注3)。
このMOOCの新しい形、これからどんどん広がるはず、そして広がってほしい。
そして、日本の大学でもこの方式導入すりゃーいいと思うのです。
これはオンライン高等教育第2の夜明けだと思うのだよね。

 

 

注1:州立大学でその州に住民登録がない場合の費用、概算
注2:2014年1月20日現在、最新の数字はこちら→ https://www.coursera.org/about/community
注3:学生が得って、70万円も払えない層への機会はどうするんだという話もありますが、Udacityは別に従来通りの無料コースはやめていないので、ほんとにやる気がある人は無料コースから学ぶことは可能です。