世界を変えるかもしれない バイオプラスチックの最先端とシナモンの関係
北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科の金子 達雄 准教授と筑波大学の高谷 直樹 教授らは、遺伝子組換えをした微生物から得られるシナモン類に光化学的手法を用いて、世界最高耐熱性のバイオプラスチック注1)を開発しました。
世界最高耐熱性という事ですが、耐熱温度が従来報告されている最高耐熱の芳香族バイオポリエステルの305℃を超える390-425℃を達成しています。
鉛フリーはんだの融点が378℃で、それを超えるために電装部品への利用が可能。
熱膨張係数が金属並みに低いので、自動車エンジン周りの金属代替材料としての利用が期待されています。
従来のバイオプラスチックは、力学強度と耐熱性に問題があったのですが、これを堅い構造の天然物である「シナモン」系分子に着目しつくり上げる事が出来た為に、弱点を克服出来たとのこと。
シナモンってこれですね。
スパイスです。シナモンロールとかに入ってる、コーヒーにかかっていたりするあれですね。この堅い樹脂構造を人工的に作り出す事で、バイオプラスチックを強化したというのが大きなポイントです。
研究のキーポイント
1)天然には微量にしか存在しない4-アミノ桂皮酸を遺伝子組換え大腸菌から産出する条件を確立
2)微生物からは得ることの極めて困難な芳香族ジアミンを紫外線を利用して合成
3)史上最も高耐熱のバイオプラスチックを分子設計
何が起こるのか
先ほどから書いているように、金属代替材料としての活用が大きいです。
昨今では、ジェット機は炭素系材料に置き換わってきていますが、これがジェット機と言わずとも自動車の様な所で起こってくる。
燃費の向上はもちろんのこと、生産時のCO2発生量が金属に比べて低下するといった利点もあります。
安価に大量生産出来るようになってくれば、世の中の大きな部分に効いてきそうな技術ですね。将来が楽しみです。
<論文名>
“Biobased Polyimides from 4-Aminocinnamic Acid Photodimer” (4-アミノ桂皮酸光二量体からのバイオベースポリイミド)
<関連リンク>
科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発(ALCA)
http://www.jst.go.jp/alca/
北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科
http://www.jaist.ac.jp/ms/index.php