21世紀のものづくりを知識製造業にシフトさせる!第2回Tech Planグランプリは大盛況のうちに終了しました
篠澤です。Tech Plan グランプリはおかげさまで大盛況でございました。
チームの喋った内容と、質疑がぱっとまとまったサイトがあるので、ここでは僕なりのツッコミや感想を交えながら、プレゼンした13チームについて振り返りたいと思います。
PILE
プログラミング教育用のタブレット用アプリケーションとロボットのアイデアを発表したPILE
PILEは、「プログラミングを覚えようとするときに既存のソフトではできることが多すぎる。そしてプログラミングのためのプログラミングとなっていて、面白さを感じにくいのでは?」というクエッションからスタートした。
これまでにアプリケーションとロボットのプロトタイプを製作している。
彼らは、東大の情報系の学生のチームだ。実は発表者待機席にはロボットの原型も持ち込んでいた。本人たちは「別のイベントに出払っていたため、急場でつくったので見せられなかった」と謙遜していたが、一晩でモノを持ってこようという意気込みを私は買いたい。
Sixth Sense(モーションコントロール株式会社)
モーションコントロール株式会社のSixth Senseは、ふつうの車をIoT化するためのセンサおよびビッグデータ関連システムだ
Sixth Senseは「最新の車ばかりがネットサービスにつながり、古い車は置いてけぼり。これはガラケーが、スマホのアプリ市場に取り残された状況と似ている。汎用性の高い、プラットフォームとなるようなセンサ類やハードウェアが必要だ」という情熱に駆られて動いているプロジェクトだ。
残念ながらまだハードウェアの進捗は明かされなかった。実は社長の冨山さんは、ああ見えて車が大好き。事前のプレゼン練習のときに知ったのだが、とても驚いた。
鍵ロボットAkerun
日本発のスマートロック「Akerun」は空きスペース市場への展開を目指す
AkerunはスマホとBluetoothの通信によって、鍵を取り出すことなく手ぶらで扉の開閉ができるようにする。しかも、後付型となっており既存ドアのままで使えるデバイスだ。
デモ用の扉と鍵も紹介された
制御工学研究室「空飛ぶセグウェイ」
出た!クレイジー研究者(褒め言葉です)。「空を飛びたい。しかも、空を飛んでる感覚を強く感じたい」というキュリオシティにDriveされて、姿勢制御で飛ぶ、クアドロコプターを発表した。
徳島大の研究者として、ベンチャーをつくる仲間を探しているという。われこそは研究者と起業する人材、という方は問い合わせてほしい。
犬パシー(動物との共感)
愛犬家によって構成された最強のチームを擁する「動物との共感」
「動物の気持ちを見えるようにしたい」「動物との共感をつよめたい」「そして、ペットがなくなったあとはその思い出を大切にしたい」というペットロス経験を持つ愛犬家としての強い動機と、動物行動学の研究をしたバックグラウンドが支える「犬パシー」は、犬に首輪と同様にして取り付けるだけで計れる心拍計だ。心拍のレートに応じて、色が変わる。ドキドキしていれば赤、安心すると青くなる。
ここまでのプレゼンでもっとも「ほっこり」するプレゼンだったことを強調しておきたい。犬かわいい
マンマシンシナジーエフェクタズ株式会社
武闘家のオーラ、研究者のオーラをにじませる金岡社長
ロボット工学の本質は「人がやるべきでない、苦役を開放すること」と喝破された金岡先生。
既に10年以上の研究経験を持ち、リアル・スティール、Gガンダムのように「操縦者の動きによって、ロボットに憑依したように操る」システムの必要な要素を完成させてきている。
動画では、ダンベルをらくらく持ち上げつつも、卵がつかめる繊細かつ強力なロボットアームや、荒れ地も歩ける柔軟な膝のバネをそなえた二足歩行システム、俊敏なマスタースレーブシステムなどを披露していた。
個人的には「動物との共感」とあまりにギャップのあるプレゼンが相当なインパクトであった。まるで初期のジューダス・プリーストのように、ブリティッシュヘヴィメタルの様式的な美しさ、鋼鉄の冷たさと激し(ry
Novelsys(シンガポールから)
スマホをポンと入れるだけで充電できる、ワイヤレス充電スリーブ
Tech Plan グランプリのシンガポール大会を勝ち抜いてやってきたのが、Novelsysだ。スタバなどの店舗と連携し、テーブル上にNovelsysの製品をあらかじめ仕込んでおくNovelsys Jucieという構想も発表された。これがうまくいけば、お店でテーブル上にスマホを置くだけで充電できる。とてもさり気ない仕組みになりうるのでうまくいってほしい。非接触充電はこれからホットな分野になると予想され、彼らの仕組みがどこまでいけるか、見てみたい。
丸から「服につけられないの?」と聞かれた時に「できるけど、洗ったら壊れるよ?」と返した場面がユーモラスであった。
DaStrong(台湾から)
画期的な省エネ設計のPCファン。自作PCをバラしてのプレゼンが度肝を抜いた
台湾からの選抜チームDaStrongは、冷却ファンの性能を向上させ、これから大量生産に向けて動き出したいと考えている。会場やその後の懇親会で、大手電機メーカーにも引き合わせができたのでこれから開発に弾みがつくことを期待したい。
EpiFaith(台湾から)
自腹で来日し、プレゼンの機会をもぎ取りに来たEpiFaith
無痛分娩のときの痛みの抑制、または腰痛やがんの闘病での慢性の痛みを抑えるため、「硬膜外麻酔」という手法が使われている。このときの手技をより安全にしたい!というミッションを掲げるEpiFaith。
台湾で会ったときと比べ、プロダクトの進捗が見えなかったので、はやくプロダクトを完成させてほしいです。
ハイカイングスター
光る靴がつくりたいアーティストと、介護士の問題意識が出会って出来たチーム
認知症でハイカイする老人のことを周囲に知らせるためのソリューションとして、スマホと通信する光る靴「ハイカイングスター」をつくるという。
個人的には「これをやろうと思った本当の理由は?」と聞かれ、真っ直ぐ「スマートシューズの可能性を信じていて、それで何かの問題を解決したい」といえたところに好感を持ちました。ブレないなー菊川さん。
Tech Plan グランプリのキックオフイベント以降の混ぜあわせによって、誕生したチームでもあり、同じ流れをどんどん生み出したいなと思った次第です。
MOLCCURE「分子生物学におけるIoTプラットフォーム」
前回は「頭からフレグランスを放つ帽子」のネタでプレゼンしていたMOLCUREの興野さん
MOLCUREほど多彩な会社も珍しいと思う。たしか立ち上げは「高速オーダメイド抗体作成サービス」だったはずだが、ハードウェアも強かった。今回は手作業、繰り返し、待機時間の多いバイオ系の実験を安価に自動化するためのプラットフォームについてプレゼンした。
実験者でもある、という現場感と、自前でつくったというキレイな動画など、華のあるプレゼンだったことは間違いがない。
AKT技術研究所
リバネス以外では見つけられないだろう起業家
わかりにくい技術を持つ、ド研究ベンチャーである。素材化学の根本となる単結晶を、従来装置よりも時間や費用を大幅に圧縮できるという。
それにしても阿久津さんだからAKTである。なんか文句あります?
単結晶作成装置のアイデアを持つ阿久津さんは、2か月前のキックオフよりもプレゼンが遥かに進化していた。
カンタンにいうとリバネス流の「高校生にもわかるような」プレゼンへと変貌しつつあるのだ。
単結晶が素材化学のねっこを握る大事なものなのか、とてもシンプルに示せたと見ていて思った。
しかし、「月がおしおき」云々の冗談だけはいただけない。
U-MAKERS
今回のプランとは関係ないが、MRIやソフトロボティクスなど興味深い研究を行っていた学生だった
学科?のハッカソンで、勢いで筋電センサー付のデバイスを作成し、ライトサーベルやかめはめ波など「子供の頃の夢」を実現させるというU-MAKER。たしか丸が「ふだんの研究は?」と聞いたら、これまた面白そうな研究をしている人たちであることが判明。「そっちで起業してくれよ」と若干思いました。
総じて、面白い発表で、よそでは見られない熱量だったり、問題解決へのこだわりが感じられる日にできたと自負しています。