リバネス研究費 多摩川精機賞 受賞者決定!東京工業大学 佐藤 伸一 助教
第25回リバネス研究費多摩川精機賞では、FG beadsを活用した分子生物学およびケミカルバイオロジー分野の研究について、募集しました。
本賞に採択された東京工業大学資源化学研究所佐藤助教の研究内容についてご紹介させていただきます。
佐藤先生の研究室では有機合成化学をベースに、創薬研究、ケミカルバイオロジー研究分野における技術革新を目指した研究が進められています。その中で、佐藤先生は局所環境下におけるラジカル反応によるタンパク質選択的修飾法の開発に取り組んでいます。
タンパク質の分子修飾は生命科学の研究において有用な手法であるにもかかわらず、現在汎用されている手法はLys、Cysといった求核性アミノ酸残基を求電子的な試薬により反応させて化学修飾させる方法に限られていました。佐藤先生らは、光触媒であるRu(bpy)3錯体を用いた一電子移動型の反応を利用することで、Tyr残基に対する修飾法の開発に成功しました。この触媒を用いれば、局所的なラジカル反応制御によりタンパク質の混在系の中で目的タンパク質の特定部位の化学修飾が可能です。この化学修飾法はケミカルバイオロジー研究における低分子化合物の標的タンパク質同定にも応用でき、今後の展開が期待されます。
採択者の声:佐藤 伸一氏
この度は採択頂き有り難うございました。私たちは、一電子酸化触媒を用いたタンパク質チロシン残基の化学修飾について研究しております。以前より、FGビーズの利点(回収の容易さ、非特異的吸着の少なさ、分散性の良さ)に注目しており、FGビーズを活用すれば、我々のタンパク質ラベル化法の応用の幅も広がるのではと考えておりました。そんな中、リバネス研究費多摩川精機賞の公募を見て、応募するに至りました。この受賞を励みに、我々のタンパク質ラベル化法とFGビーズをうまくマッチさせ、タンパク質の高感度検出等にも使えるビーズの開発や新たな方法論開発に力を入れて研究していきたいと思います。
佐藤 伸一氏プロフィール
2011年3月東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了、博士(薬学)。米国Scripps研究所博士研究員、学習院大学理学部助教を経て、2014年2月より現職。