未来仕事研究所 第3回:サイバメディカルエンジニア

未来仕事研究所 第3回:サイバメディカルエンジニア

未来仕事研究所 第3回

現存する仕事なくなるって言うし、未来の仕事考えてみた

オックスフォード大学のMartin School*(注1)が2013年の9月に刺激的な論文、「The Future of Employment」を発表しました。50年後には、今ある仕事の47%がコンピュータによって置き換わると論文は主張しています。今あなたが就きたい職業は50年後になっても本当にあるのでしょうか? あるのかないのかわからない職業に思いをめぐらせ一喜一憂するくらいなら、自分の頭で未来の仕事を妄想しましょう。ちょっとリラックスしたかたちで提示する、未来のキャリア(?)です。

サイバメディカルエンジニア
人工の器官をメンテナンスするスペシャリスト

少子高齢化社会。よく耳にするその言葉の裏側には、もう1つの大きな問題が潜んでいます。それは、身体障害者の増加です。内閣府の調査*(注2)によると、身体に何らかの障害を抱える人の数は年々増加傾向にあります。特に内的障害(五感や筋肉の低下)に苦悩する人々が増加しています。

身体の不自由な人をサポートするために、現代では医学・工学・情報科学など様々な分野が連携、融合領域を作って熱心に研究しています。特に、ロボット工学やウェアラブルデバイスの急速な発展は皆さんもご存知の通りでしょう。

ウェアラブルデバイスは、まだ体の表面につけるスマートウォッチのようなものが多いですが、体に埋め込むものもあります。昔からあるものとしては、ペースメーカーが挙げられます。つい最近では、考えるだけで動かすことができる義手*(注3)や、バイオニックアイと呼ばれている「見ることができる」義眼までも実現しています*(注4)。不自由になってしまった腕はロボットアームによって補われ、見えなくなったはずの風景が、義眼でまた見えるようになるのです。

しかし、ただ体に装着するメカの存在だけでは不十分。それをメンテナンスする人が必要です。そこで、人の体を熟知しつつ、機械にも精通している博士が活躍するでしょう。

想定できるシナリオ:サイバメディカルエンジニアのお仕事例

 あと100年もすれば超高齢化社会。どんな人も機械を身にまとうことでしょう。機械は毎日の生活を快適にしてくれますが、機械がいつでも完璧というわけではありません。メンテナンスが必要だからです。そこで、未来では医学と工学のどちらをも極めたエンジニアが活躍することになるでしょう。例えば、眼に入ったCCD付きの義眼を「治療」するためには、医学はもちろん、エレクトロニクスなどの知識も必要になります。すでに始まっている医工連携は、工学の知識も持ち合わせたスーパードクターが人間を「整備」しにくる未来がそう遠くないものだということを示しているのかもしれません。

記者のコメント

ウェアラブルデバイスやロボットが究極に発展した未来を考えてみました。未来にはワンピースに出てくるフランキーのようなサイボーグが普通に存在して、そんなサイボーグおじいちゃん・おばあちゃんが若者に負けじとバリバリ仕事をしているかもしれませんね。 大上 能悟(大阪大学 工学部 応用物理専攻)