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誰にもない発想の基礎研究と事業化、両方を目指したい 久武 信太郎

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久武 信太郎さん 大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教 博士(工学)
久武 信太郎さん 大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教 博士(工学)

久武 信太郎さん
大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教 博士(工学)

子どものころから「他人と同じことをすることが大嫌いだ」という大阪大学大学院の久武信太郎さん。
出会った人との縁も、たどり着いた研究結果も、自分なりに受け止めてきたからこそ、次の道が拓けてきた。
興味の赴くまま黙々と研究してきた彼が今立っているのは、研究を社会に役立てる事業化への道だ。

基礎研究者、応用を考える

小学生のときから研究者に憧れていた久武さんが大きな影響を受けたのは、博士号取得後、最初に着任した研究室の恩師だ。
「研究には、考えれば誰でもできるテーマもあるけれど、『こんな発想はなかった!』という切り口に憧れました」。
恩師の背中を見ながら、その研究室が専門とする光エレクトロニクス分野の中で、興味の赴くまま次々とテーマを広げていった。
「自分にはまだ専門がないと思っているんですよ。5年ごとに違うテーマをやっている自分はまだ“お勉強”の段階です。
だからこそ、その分野の中での常識を疑い、常識を打ち破っていきたいですね」。

そんな彼がたどり着いたのは、電磁波を可視化する技術だった。
異常な電磁応答があっても、見えないがために原因を探ることが難しかった高周波数の電磁波を、三次元的に可視化する技術を独自に生み出したのだ。
同じ頃、大阪大学では研究の事業化を目指す学生のための教育プログラム(EDGE)がスタートしていた。
学生のテストケースとして参加した久武さんは、ここで産業界の人とディスカッションしたり、視点の変え方を教わったりするうちに、自分の成果の事業化を本格的に考え始めるようになっていた。

あたためてきたものをひっくり返す

自分の技術を産業界の何に応用できるのか、久武さんはいくつかの仮説を立てた。その1つがレーダーへの応用。
しかし、ニーズがあるという確証はない。
その頃、EDGEの中でカリフォルニア大学サンディエゴ校に行き、現地のベンチャーキャピタル関係者と議論する機会を得る。
その議論の焦点は、やはりニーズの有無になった。
市場規模の測り方やニーズのヒアリングの仕方など、具体的なアドバイスをもらい、プランを練っていった。
最終日には、ベンチャーキャピタリストの前で自分のプランをプレゼンすることになっていた。
前日の夜、教わった通り市場規模を測ってみた久武さんは愕然とする。「やばい。市場規模が全然小さい」。
焦った彼は、なんと、これまでの内容を捨て、別のビジネスモデルをつくってもっていったのだ。
当日、一緒に議論してきたメンターたちはびっくりした様子だったが、プレゼン後は、メンターからも、「君はナチュラルアントレプレナーだね!」と絶賛された。
「みんなとの議論をひっくり返すなんて、とも思ったけど、状況に応じて、多くのことを捨ててでも考え方を転換することの大切さを実感しました。これは、研究でも同じことだと思います」。

ノーベル賞級の研究で事業化も狙いたい

将来は起業も視野に入れている、という久武さん。
今はプランを実現するためのヒアリング調査も行い、いくつかの企業と連携できそうなところまで来ている。
「自分は基礎研究で誰も思いつかないような発想で結果を出していくことに憧れていました。
でも、今は、具体的にどのように社会に役立つのかを意識したうえで、基礎研究から応用研究、その先の事業化までの全てに関わることが面白くてたまりません。
こう考えるようになったのは、今の研究室の恩師によるところが大きいです。
2人の恩師をはじめ、本当に多くの方から刺激をいただきました。出会いに感謝ですね」。

将来は、「ノーベル賞がとれるような、誰にもできない発想で研究をしつつ、その研究を社会で活かして、お金を生み出し、そしてそのお金を基礎研究に還元したい」と野望を語る。
そんなことができるのかは全くわからない。しかし、全然違うベクトルの両方の世界を見てみたいという。
久武さんの自由な発想と行動力なら、それを実現してくれそうだ。

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環野 真理子/Mariko Kanno 人材開発事業部 筑波大学大学院生命環境科学研究科生命共存科学専攻修了 修士(理学) 専門は地球生物化学。生き物の視点から海洋の炭素循環について研究していました。 潜水士・スキューバダイビングの免許を持っています。自然科学と芸術にも関心あり。 大学院生向け研究キャリア応援マガジン『incu-be』制作統括、大学生・大学院生向け研修、 採用窓口も担当。サイエンスカフェ、キャリアカフェの運営・司会等も承ります。

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