ホーム 紙面向けコンテンツ 冊子「創業応援」 夢の素材“カーボンナノチ...

夢の素材“カーボンナノチューブ”を当たり前に! ナノサミット株式会社

293
0
シェア
分散技術を使って製品化された「CNT 発熱シート」

1991 年、NEC 中央研究所の飯島澄男博士によって構造が明らかにされたカーボンナノチューブ(CNT)は、 そのカイラリティや層構造の違いにより強靭さ、軽さ、柔軟性、導電性、半導体特性など多くの優れた特性を示 す素材として脚光を浴びた。しかし、現在も CNT は普及しているとは言いがたい。実用化に向けて解決すべき 課題は多いが、とりわけ重大なのが CNT 同士の分子間力相互作用による凝集である。

25 年越しで実現した 孤立分散化技術

CNT 自体の性能がどんなに優れ ていても、凝集した状態では十分に 活かすことはできない。界面活性剤 や超音波を駆使して 1 本 1 本を分散 させても、その孤立した分散状態を 維持することが困難であり、安価で 大量に安定的に扱える分散技術が求 められていた。そんな課題を解決し たのが、ナノサミット株式会社 CTO 古月文志氏(東京大学特任教授を兼任)だ。1 分子中にプラスと マイナスの両方の電荷を持つ両性イ オン分子(※)を分散剤として用い ることで、CNT 凝集体の表面で両 性イオン分子膜(self-assembled zwitterionic monolayer: SAZM)が自己組織化的に形成さ れることを利用している。分子間の 結合の強度が CNT-CNT < SAZM- SAZM<CNT−SAZMという関係 になっていることで、CNT 全てが 孤立するまで自発的に分散し続ける のだ。

いよいよ始まる実証試験

CNT の特徴は、軽さ、強さだけ に着目してもあらゆる製品部材に とって代わる可能性がある。また導 電性や高い比表面積に着目した電極 や触媒への適用は、二次電池や燃料 電池の性能を各段に高めるに違いな い。電線やモーターにおいても、大 幅な軽量化、小型化が実現できるだ ろう。他にも、ダイオキシン類など ベンゼン環骨格をもつ有害物質を選 択的に吸着する性質に着目したフィ ルターなども考えられている。 CNT の孤立分散化が工業レベルで 実現したことで、従来用いられてい る金属材料やエンジニアリングプラ スチックといった素材同様に、様々 な場所で活用されるようになるはず だ。ナノサミット株式会社では、発 見から 25 年にしてようやく実現し た工業レベルでの孤立分散化技術を 武器に、多方面での CNT 実証試験 を開始した。夢の素材と言われた CNT が世に広がる未来が、ここか ら始まる。

※例えば3-(N,N-ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネートや2-メタクロイルオキシホスホリルコリン(MPC)とn-ブチメタクリレート(BMA)のコポリマーで孤立分散を確認している。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す