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分野を超えて知が融合する日本最大級の学会「超異分野学会」第6回本大会開催報告:世界5カ国からも登壇者が集まり国際学会へと進化

分野を超えて知が融合する日本最大級の学会「超異分野学会」第6回本大会開催報告:世界5カ国からも登壇者が集まり国際学会へと進化

株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役CEO:丸幸弘)は、第6回超異分野学会本大会を2017年3月2日(木)、3日(金)に開催しました。国内の大学・研究機関の研究者、大企業、ベンチャー、町工場、高等学校や、アメリカ、イギリス、シンガポール、スウェーデン、フィリピンのスタートアップ、大学のディレクター、トップアクセラレーターなど、総勢486名が集まりました。

超異分野学会は、「Be hyper-interdisciplinary(超異分野であれ)」をミッションに掲げ、細分化された知識に横串を通し新しい知識を生み出すためのプラットフォームとして2012年にスタートしました。アカデミアの研究者や企業、町工場の技術者、起業家、大企業の経営者・新規事業創出の関係者まで、研究、ビジネス、ものづくりなど様々な領域のプロフェッショナルたちが化学反応を起こす場として、他に類を見ない新しい学会のしくみを作っています。

第6回となる本学会では、リバネス研究費の採択者らによる研究発表と年間最優秀賞を決定する「リバネス研究費アワード」を皮切りに、東京大学大学院医学系研究科上田泰己教授によるキーノートスピーチ、iPS細胞、海底探査、腸管医学という異分野の融合が求められている領域の研究者たちや、下請けではない新たな事業を仕掛ける町工場関係者、そして、オープンイノベーションを加速させている国内プレイヤーらによるシンポジウム・パネルディスカッションが繰り広げられました。
また、アメリカのシンギュラリティ大学、PlugandPlay、シンガポールのFocus Tech Ventures、イギリスのAccelerate Cambridgeによるパネルディスカッションや、アメリカ、フィリピンのスタートアップらによる特別講演が行なわれ、国内外の事業創出の現状を垣間見ることのできる2日間となりました。
さらに、リバネスが独自の基準で選んだ研究開発型ベンチャーを表彰するリアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー2017の表彰式、リアルテックベンチャー26社が集結した国内最大級のベンチャーキャリアイベント「TECH PLANTER Meetup」も同時開催され、本大会テーマでもある「知のるつぼ」を体現したような多彩な顔ぶれが集まる学会となりました。

3月11日(土)、12日(日)には大阪にて超異分野学会大阪フォーラム2017を開催いたします。ぜひご来場ください。
ウェブサイト:https://hic.lne.st/osaka2017/

第7回超異分野学会本大会は、2018年3月2日(金)、3日(土)に開催予定です。

3月2日(木)
⚫️リバネス研究費アワード2017⚫️
リバネス研究費の採択者ら12名による研究発表と年間最優秀賞を決定しました。

●発表者(12名)

<リバネス研究費 超異分野学会賞>

<特別賞>

⚫️キーノートスピーチ⚫️
ヘテロな集団が拓く研究の未来を語る〜全身・全脳透明化の先に見えるもの〜
東京大学大学院医学系研究科 上田泰己教授
生物の体を構成する細胞はそれぞれが別の挙動をしているにも関わらず、全体としては一つの生命体として機能しています。この謎を解き明かす一つの手段として、固体を透明化して、顕微鏡で全細胞を観察しようという挑戦をしている上田氏にこれまでの成果を含め、語っていただきました。
冒頭でフランス人画家ジョルジュ・スーラの点描画になぞらえて細胞の話を展開するなど、高度な研究の話を終始わかりやすい軽妙なトークで繰り広げ、会場の興味を引き出していました。

⚫️シンポジウム⚫️
iPS細胞を社会へとつなげる先端研究を知る
iPS細胞を取り巻く研究について、再生医療応用、創薬応用、製造という3つの異なる領域の研究者が集まり、最先端の話が展開されました。名古屋大学の加藤氏の全体のオーバービューに続いて、横浜市立大学の小井土氏からテーラーメイドのiPS細胞活用法にもつながりうる個々人のiPS細胞の特性とゲノム配列の違いの関係、京都大学iCeMSの南氏からはiPS細胞の活用で避けては通れない培養液の低コスト化といった再生医療、創薬のいずれにもつながる研究が紹介されました。つづく大阪大学の高山氏からはiPS細胞から誘導した肝細胞を使った薬物毒性のスクリーニングについて、名古屋大学の小坂田氏からはiPS細胞から誘導した網膜色素上皮細胞の移植について話が展開されました。最後に島津製作所の阿部氏から細胞の品質をどう判断するかについて、分析の視点から課題も含めて現状の紹介が行なわれました。様々なアプローチを会場だけでなく、登壇者どうしも共有し、新たな仲間づくりにも発展するシンポジウムとなりました。

<登壇者>
オーガナイザー:
加藤 竜司 氏 名古屋大学大学院創薬科学研究科 独立准教授
スピーカー:
小井土 大 氏 横浜市立大学大学院医学研究科臓器再生医学 特任助手
小坂田 文隆 氏 名古屋大学 大学院創薬科学研究科 講師
高山 和雄 氏 大阪大学大学院薬学研究科附属創薬センター 特任助教
南 一成 氏 京都大学物質-細胞統合システム拠点 特定拠点助教
阿部 浩久 氏 (株)島津製作所分析計測事業部ライフサイエンス事業統括部 細胞事業開発室 室長

⚫️シンポジウム⚫️
より一層オープンな海底探査を目指して
合計7名のスピーカーから、様々な視点から海底探査分野に新しい可能性がひらけていることが紹介されました。海洋に関わる取組を様々な角度から振興する日本財団の海野常務理事より「海の超異分野的視点」として広範な論点を俯瞰して紹介、海底地形図作成を司る機関GEBCOより谷指導委員長と、Jakobsson教授より、「Seabed2030」という2030年までに海底地形図を100%明らかにするという野心的プロジェクトの背景を紹介しました。JAMSTECの野崎氏は、海底熱水鉱床から純度の高い金属を養殖し、「東京産の電化製品」をつくりたいという挑戦を紹介しました。続いて、Shell Ocean Discovery Xprizeという、総額7.5Mドルの賞金レースに参加する「TEAM KUROSHIO」の共同代表であり、JAMSTECに所属する大木氏からは自律潜水艇によってオンデマンドで情報を取得する「ワンクリックオーシャン」という構想が語られました。東京大学の巻氏からは自律潜水艇を取り巻くロボットらによる「海中ロボット王国」という構想が話されました。最後に、リバネスの西山より、日本財団とリバネスの共同事業により海底地形図を作成する技術を何百倍にも加速する研究について、資金支援およびチーム形成支援を行なうプロジェクトが発足する予告を行いました。

<登壇者>
オーガナイザー:
篠澤 裕介 株式会社リバネス 投資育成研究センター センター長
スピーカー:
海野 光行 氏 日本財団 常務理事
Dr. Martin Jakobsson ストックホルム大学 地質学部 海洋地質学・地球物理学 教授
大木 健 氏 海洋研究開発機構 技術研究員
野崎 達生 氏 海洋研究開発機構 研究員
巻 俊宏 氏 東京大学 生産技術研究所 准教授
西山 哲史 株式会社リバネス 研究開発事業部 部長

⚫️パネルディスカッション⚫️
腸管医学とデータサイエンスの融合
腸内細菌とはそもそも人にとって必要なのか?という根源的な問いかけに端を発し、皮膚の細菌を調べると96%の精度で自己と他人を見分けられるという研究成果があることからも、自分を自分たらしめるものの中に腸内細菌を含めた細菌叢が入っていることは間違いないが、まだ未知の部分が多く、その価値に気づいている人は少ない。そこに、データサイエンスが融合すれば、見えない価値を形にすることができるため、まさにこれまでいらないものと考えられてきた“便”に含まれる健康情報を価値に変えることができるのではないか、という議論に発展しました。さらに、腸内細菌叢と会社組織を照らし合わせ、人間は一定の環境に慣れすぎると変化に適応できなくなるため、入れ替えたほうが組織の健全を保てる。腸内環境においても、同じ食事を食べ続けると、細菌種が変わらずとも性質が似通ってきて、変化に耐えられなくなるのではないか、という現代の会社組織の健康管理と腸内環境を引っ掛けた軽快なトークも繰り広げられました。

<登壇者>
ファシリテーター:
福田 真嗣 氏 慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任准教授
パネリスト:
北川 拓也 氏 楽天株式会社 執行役員 データインテリジェンス統括部 ディレクターECカンパニー CDO
田中 由佳里 氏 東北メディカル・メガバンク機構 助教
山田 拓司 氏 東京工業大学生命理工学院生命理工学系 准教授

⚫️トークセッション⚫️
町工場の逆襲 〜下請けからフロントランナーへ〜
本セッションでは、東京墨田区・板橋区・大田区に加えて大阪の大正区から集まった町工場の代表たちをパネリストに迎えました。下請けというイメージの強い町工場ですが、パネリストの彼らはスタートアップ企業製品のプロトタイピングや個人向けの新規事業立案、自社IoT製品の開発などを仕掛け、新たな活躍の道を切り拓いています。一点物制作にも対応できる柔軟性や、培った高い職人の技術など、町工場としての価値を自ら発信して、活用していくことが重要だと語られました。発注を受けたものをただ作るのではなく、自発的に提案できることが町工場を下請けではなくフロントランナーたらしめることが示された会となりました。議論の中では、各社の特徴に加え、大田区は大企業の下請けが多数派を占める、板橋区は光学関係が強い、大正区は東大阪に比べて規模が小さいがその分小回りが効く、など町工場の地域別の特徴なども紹介されました。大企業との軋轢や事業展開における苦難のエピソードも交えた経営者のリアルな経験談に、フロアも興味が尽きず、活発な議論はセッション後の質疑応答に限らず懇親会まで続きました。

<登壇者>
ファシリテーター:
長谷川 和宏 株式会社リバネス 執行役員CKO
パネリスト:
浜野 慶一 氏 株式会社浜野製作所 代表取締役
横田 信一郎 氏 株式会社ナイトペイジャー 社長 下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会 広報担当
吉川 孝 氏 有限会社HINODE 代表取締役
木幡 巌 氏 株式会社木幡計器製作所 代表取締役

3月3日(金)
⚫️特別トークセッション/パネルディスカッション⚫️
リアルテックベンチャーは、大企業をおとぎ話の世界に連れていく
〜世界のトップアクセラレータ・VCが語るベンチャーエコシステムのビジョン〜

本トークセッションでは、シリコンバレー、シンガポール、イギリスのそれぞれの地域のベンチャー支援機関がどのようなダイナミズムで動いているか、現場感覚を共有し、いかに日本のエコシステムと繋げていくか議論する会となりました。はじめはシリコンバレーよりPlugandPlayのJackie氏より、シリコンバレーの中心地にてベンチャー、大企業、VCがどのように連携し、どれほど大きなマグニチュードでコトが起こっているか、インパクトを紹介いただきました。シンギュラリティ大学のMoniqueは、ロボティクス、合成生物学、ナノテクノロジーなど情報科学との融合により飛躍的発展を遂げる「指数的テクノロジー」の支援を掲げ、ベンチャーが続々と生まれていることを話しました。シンガポールのFocustech VenturesのKelvin氏は、いかにしてシンガポールでVC事業を立ち上げ、ベンチャー生態系を作っていっているか自身の進行形の挑戦について紹介しました。イギリスから、ケンブリッジ大学のベンチャー支援を手がけるMaximilian氏から、ケンブリッジの起業環境、特に連続起業家が活躍しているフェーズにあることが語られました。

<登壇者>
モデレーター:
武田 隆太 株式会社リバネス グローバルブリッジ研究所 所長
パネリスト:
Ms. Monique Giggy  Singularity University Director, Startup Accelerator(USA)
Ms. Jackie V. Hernandez  SVP of Operations & Customer Engagement, PlugandPlay TechCenter(USA)
Mr. Kelvin Ong  FocusTech Ventures CEO (SG)
Mr. Maximilan Ge  President, Cambridge University Technology and Enterprise Club(UK)

⚫️海外ベンチャー&研究者特別講演⚫️
今見ておくべきリアルな課題のホットスポット
本シンポジウムでは、沖縄、イギリス、シリコンバレー、フィリピンからの講演者たちが、どういう課題に対して取り組んでいるか、どのようにその課題を見つけたか、どのように解決に取り組んでいるかを共有しました。トップバッターは沖縄から来た中学生の上原さん。彼女は自分の経験から犬の飼い主向けの人工知能を活用したしつけ改善アプリについて紹介しました。続いて、インペリアル大学のSimon氏は、神経生物学センターにおける産学連携プロジェクトを次々と生み出す仕組みについて話しました。シリコンバレーから、シンギュラリティ大学のバイオ部門のトップをつとめるRaymondo氏は、ITエンジニアなど非専門家が自由に出入りできるバイオハッカースペースBioCuriousを通じて超異分野的なチームができていくことを紹介しました。シンギュラリティ大学のプログラム出身のBasepawの代表Anna氏は、ペット向け遺伝子検査ビジネスとその成り立ちを話しました。また、フィリピンから来た塩水で点灯するランプを開発しているSALtの代表Aisa氏も自身のこれまでの挑戦について語りました。

<登壇者>
Arisa Uehara /Takuto Kinjyo A-pet
Dr. Simon Schultz Imperial College London Neurotechnology and Director of the Centre for Neurotechnology
Mr. Raymond McCauley Digital Biology, Singularity University Chair
Ms. Anna Skaya Basepaws CEO/Mr. Shan Zhao Basepaws CTO
Ms. Aisa Mijeno SALt Co-Founder & CEO

⚫️パネルディスカッション⚫️
スタートアップ・エコシステムの未来はどっちだ!?
午前中の特別トークセッション、「リアルテックベンチャーは、大企業をおとぎ話の世界に連れていく」の登壇者である世界のトップアクセラレータ・VCの4名に加え、シンギュラリティ大学のMcCauley氏を加え、スタートアップエコシステムに関わる重要トピックを選び、議論しました。パネルの前半は、「課題解決への熱狂を支える文化をどのように創るか、また維持するか」についての意見交換となりました。議論の中では、その文化を支える「Tolerance for failure(失敗に対する耐性)」や、「Organized Chaos(仕掛けられた無秩序)」などのコンセプトが語られました。また、パネルの後半では、アントレプレナー育成についての思考実験を行い、自分の子供がアントレプレナーになった際に、あるべきエコシステムを考えました。パネリスト満場一致で、予測することができる未来の不確実性をあげ、「アントレプレナーの変化への対応の積み重ねの結果」こそが未来の世界と結論づけました。

⚫️パネルディスカッション⚫️
これからのオープンイノベーションの話をしよう
自社内だけなく、他社や自治体など、異分野の人材や知見を巻き込んで革新を生み出す「オープンイノベーション」。今回お呼びした3人が率いるのは、世界中の企業ネットワークを武器とするナインシグマ・ジャパン、日本国内の中小企業を中心としたローカルなつながりを強みとするリンカーズ、スタートアップの新規アイディアと大企業のアセットのコラボレーションで革新を促すCrewwという、三者三様、異なる観点でオープンイノベーションを進める企業です。そんな彼らとの議論からは「ベンチャーや大企業、地方自治体という枠を超えて、互いに理解しあい、課題に取り組む想いをともにすること」という、これからのオープンイノベーションの加速に向けたひとつのヒントが見出されました。質疑応答の中では、今後の産業革新を担う人材育成はどう為されるべきかという未来志向なディスカッションも白熱しました。

<登壇者>
パネリスト:
渥美 栄司 氏 株式会社ナインシグマ ヴァイスプレジデント
加福 秀亙 氏 リンカーズ株式会社 代表取締役COO
水野 智之 氏 Creww株式会社 取締役/Managing Director Open Innovation事業統括

⚫️リアルテック・ベンチャー・オブ・ザ・イヤー2017⚫️
リバネスでは、「世界が抱える課題を見出し、その課題を解決しうるパッション、ビジョンそしてテクノロジーを併せ持ち、最も未来を創造しうるベンチャー企業」をリアルテックベンチャーとして表彰しています。リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー 2017 ではスタートアップ部門7社とグロース部門2社を選出、表彰しました。

<スタートアップ部門受賞企業>
株式会社チャレナジー/KAKAXI Inc./株式会社メタジェン/株式会社イヌパシー/株式会社Rhelixa/株式会社ニューロスペース/株式会社Kyulux

<グロース部門受賞企業>
シンクランド株式会社/株式会社Eサーモジェンテック

両日共通企画
⚫️TECH PLANTER Meetup⚫️
地球や人類の課題解決を目指す新進気鋭のリアルテックベンチャー26社が集結し、本気で世界を変えたいという思いを持つ仲間を募集しました。新たな挑戦の場を探している若手研究者の方々に参加いただき、大企業スピンアウトベンチャーの創業者と大企業からベンチャーに転身した方々のパネルディスカッションや、一対一で深い濃い話ができる予約ブースなどの企画を実施しました。

⚫️超異分野ポスターセッション⚫️
計51演題のポスター発表を実施、会場投票により最終選考会に進出する9名を選出し、ポスター審査員による審査を経て、最優秀ポスター賞を決定しました。

<最優秀ポスター賞>

<最終選考会進出10名>