〔リバネスセンシズ〕ひとりひとりが研究テーマを抱ける社会を創造するひと(後編)
リバネスセンシズでは、リバネスメンバーのインタビューを通して、そのパッションを紐解き、実現しようとする個々の未来像をお伝えします。
中島 翔太(なかしま しょうた)
修士(工学)
専門分野:電気化学、無機化学
(聴き手:佐野 卓郎)
→前編はこちら
佐野:入社してからは、どんな仕事をしましたか?
中島:1年目では、色々なことをやらせてもらいましたが、入社してからも実験教室は続けていました。特に企業とコラボレーションした実験教室プロジェクトでは、単なる教育的な視点から脱却することができて、多くのことを学ばせていただきました。
その後、2年目からは大阪事業所に異動しました。そこで、これまでの「リバネス研究費」には無かった人文社会科学系研究者のための研究費を実施しました。教育の仕方、進め方に科学的な知見を導入しようとする研究者と、現場をつなげるようなテーマのための研究費です。
これまで学校の先生と話す中で、経験や勘で授業をしていたことを知りました。成績もとにかく補習をすることで上げていたんです。教育にも科学的な知見が入ればきっと良くなるだろうと考えていました。研究者が教育の現場に入り、先生方と議論をすれば、先生方も研究的思考を学べるだろうし、一方で、研究者もリアルな現場の状況を考えていくことができるはずだと考えました。
佐野:実際にやってみてどうでしたか?
中島:違う立場の人同士が学び合うことは、研究者にも、先生方にとっても視野の広がる良い機会になったと思います。当初、学校の先生方には研究者に対する勘違いがあったように感じます。現場と乖離したことを研究しているんじゃないかって。でも、教育をより良くしたいと思っているパッションをもった研究者もいっぱいいるんです。先生方も感銘を受けていました。
また、そうした先生方の中からは、自分の学校だけじゃなくて、ほかの学校も視野に入れて、教育全体を変えていくようなビジョンを考え出す先生も出てきたりしました。私自身も本当に多くのことを学ばせて頂きました。
佐野:教育以外の取り組みには参画していますか?
中島:最近では、リアルテック系シードアクセラレーションプログラム「TECH PLANTER(テックプランター)」などにも関わるようになりました。研究者・技術者、ベンチャーが参加し、さらには大企業や町工場など集まるこのプロジェクトも、人を動機付けるという意味では次世代教育と共通点があると思いました。
佐野:中島さんは、今後はどのようなことを仕掛けたいですか?
中島:私は、研究の面白さを伝え、皆が自分なりの研究テーマを抱けるような社会を目指したいと考えています。
以前、ロボット開発のための中高生向け研究費をやったことがあります。採択者には、単にお金を渡すだけでなく、メンタリングも行うというものでした。もともと技術的な知識なんか持ち合わせていない中高生が、課題をもってどんどんと学びながら研究を進めていくんです。初心者にも関わらず、最後にはロボットを完成させることができました。自分たちで課題をもって自分たちが自律的に動き出す。そこに、サポーターとなるリバネスが関わることで、さらに加速するんです。
大人にしてみても同じことでしょう。課題を抱き、研究の如く学び、発見を得ながら活動していく。もし大人が各々に自身の研究テーマを持てるならば、それをサポートし加速していくことで、もっともっと活躍する人が増えるに違いないと考えています。