聖光学院中学校・高等学校で出前実験教室”隠れた『色』を見つけ出せ!〜化学実験教室〜」”を実施しました

聖光学院中学校・高等学校で出前実験教室”隠れた『色』を見つけ出せ!〜化学実験教室〜」”を実施しました

聖光学院中学校・高等学校(学校長 工藤 誠一)において、2019年3月19日に出前研究教室を実施しました。今回の教室は、中学1年生から高校1年生、希望者24名を対象に、「隠れた『色』を見つけ出せ!〜化学実験教室〜」というテーマで実施しました。

 化学物質という言葉は、どうしても人工的で特別な印象を与えます。しかし、実際には世の中のあらゆる物は様々な原子・分子からなる化学物質でできています。普段の生活ではあまり意識することのない原子・分子の世界に触れる実験教室を企画しました。
 特に今回注目したのは「色素」です。私達の身の回りには様々な色が溢れています。決まった光の波長を反射する分子である色素は、多様な色を作り出す一つの要因です。人類は古くは天然の、化学工業が発達してからは人工の色素を衣・食・住のあらゆる場面で活用しながら色鮮やかな世界を作り出してきました。本実験教室では、天然色素の抽出実験を中心に、分子のもつ性質を体感し、その性質が分子自体の構造の関係性を探求しました。
 今回は、架空の研究所に残されたヒントを頼りに「粉末Xから複数種類の色素を取り出す方法」を見つけるというミッションを掲げ、分子の性質をヒントにしながら謎解き形式で実験を進めました。まず、分子の持つ親水性・疎水性について基礎知識を身に着けた後、薄層クロマトグラフィーを用いて粉末Xに何種類の色素が含まれているのか考察しました。その後、発見した色素を分離できるような抽出条件を自分たちで考えて実践しました。最後に、研究所に残された分子の構造式は一体どの色素なのかの謎解きも行いました。
 教室の最後には、講師重永から「研究をして新しい世界の見え方を手に入れよう!」というメッセージを伝えて締めくくりました。
 はじめは戸惑っている様子でしたが、前半の実験で学んだ溶媒の性質やこれまでに学んだ知識を活用し、試行錯誤をしながら抽出条件を探し当てて行くことができました。すべての色素を分離する条件を発見することができず悔しい思いが残ったチームもありましたが、実験教室が終わる頃には「構造式っておもっていたよりもわかりやすい」という声もあがり、分子レベルで目の前の現象を捉えることに馴染んだ様子でした。

〔参加した生徒の感想〕
  • 研究者が普段している研究の片りんに触れて良かったです。
  • 研究者という職業について考え、世界の見方に違いがあることを知れて良かったです。自分の興味をとことん掘り下げることの大切さも学べました。 
  • 人によって見えている世界は違うことに気がついた。
  • 研究者は新しいものを切りひらこうとするひとであるというのが印象的だった。
  • 世の中のものを色々な視点で見ることができ、今回その一つの見方が出来たことが面白かった。 
〔参加したスタッフの感想〕

 普段、見る人によって世界の見え方が違うということにはなかなか気づきません。そこで、生徒たち自身がそれぞれの視点を獲得していってほしいという思いから、今回の実験教室では、研究者はそれぞれの切り口で研究を行うことにより独自の視点を持っていることを伝え、研究をして新しい世界の見え方を手に入れよう!」というメッセージを伝えることを目指しました。化学という研究分野を通して原子・分子レベルで世の中を見るという体験をしてもらい、その後研究者ごとに異なった世界の見方があることを紹介しました。
 普段から目にしている「色」も、分子レベルで考えると、これまでとは全く異なる見え方に変わります。様々な分野の研究者は、研究を通してそれぞれに異なる視点から世の中を見ているとも言えます。今回の実験教室を通して、新しい世界の見え方の存在に気付き、自分の興味を探求していくきっかけとなれば幸いです。

〔概要〕

日時:2019年3月19日(火)13:00〜17:00
会場:聖光学院中学校・高等学校
対象:中学1、2年生 20名
主催:株式会社リバネス
テーマ:色素抽出