【実施報告】2023年度第二回地域産業創出セミナー「医療機器を受託開発する中堅企業が、生体模倣技術 スタートアップとの連携で独自商品開発を開始」を実施しました
2023年10月19日、2023年度関東経済産業局委託事業である「令和5年度価値創造チャレンジ事業(中小企業経営支援等対策委託費)」における「地域産業創出セミナー」の第1回を実施しました。当日は、全国の地域中堅企業の他、大企業や自治体、地域金融機関、スタートアップの方々が約15名参加しました。
※本事業の概要及び2020年度,2021年度の成果実績等はこちら(関東経済産業局HPへ)
はじめに、関東経済産業局 真下 英也 氏より、コロナや紛争などによって激変するマーケットの中で、既存のサプライチェーンや顧客に頼らず新規事業を通じた応用力を持つ重要性について語っていただきました。その一環としてベンチャーと中堅企業の連携が挙げられる中、多くの連携創出プログラムは参加スタートアップが主役ですが、今回のような中堅企業を主役にした今回の取り組みの重要性に改めて言及して下さりました。本事業終了後も地域産業の成長支援をサポートすることに賛同して下さった30を超える自治体、金融機関、支援機関の皆様との連携について触れながら本事業の趣旨について説明頂きました。
その後「医療機器を受託開発する中堅企業が、生体模倣技術 スタートアップとの連携で独自商品開発を開始」と題したトークセッションを開始。まずは精密な金属・樹脂のパイプやチューブ加工を得意とし、ディスポーザブル医療機器(主に単回使用の滅菌済注射針)では日本のマーケットリーダーとして牽引する栃木精工株式会社の 川嶋 大樹 氏から、事業内容や、スタートアップとの連携に至るまでの経緯について紹介がありました。続いて、生体親和性に優れたMPCポリマーコーティング剤の開発している東京大学発ベンチャー、インテリジェント・サーフェス株式会社の 切通 義弘 氏 に、独自の技術の強みと、栃木精工の注射針への活用例を紹介していただきました。
トークセッションでは栃木精工とインテリジェント・サーフェスの連携のきっかけについて深掘りしました。元々栃木精工は顧客から注射針の「液垂れ」の課題に対しての解決策に悩んでいる中、初めてインテリジェントサーフェスの技術を聞いてコーティング剤の利用を考えたといいます。同時に、インテリジェント・サーフェスとしても、「液垂れ」という医療機器メーカーが直面する課題に対する新たな発見がありました。また、中堅企業は代表の共感から生まれる動きが早く、大企業連携に比べてスピーディーに連携のロードマップを描くことができるなど、両社の相性の良さについての話が盛り上がりました。質疑応答では、金融機関の参加者から「金融機関へ求める支援のあり方は」等、より効果的な連携を目指した質問を会場から頂きました。
最後に現地参加のネットワーキングセッションが設けられ、地域金融機関や中堅企業など、参加者同士が連携議論する姿も多く見られました。連携する両社の技術的キーワードだけではなく、技術を理解した上で両社に歩み寄り、共にロードマップを描くことが重要であると感じられたセッションとなりました。