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平時と有事の両立を図り、しなやかで許容性のある社会システムを創造する 「リバネス・レジリエンス・プロジェクト」を始動 ー 大手企業3社、ベンチャー8社、アカデミア1チームが参画 ー

平時と有事の両立を図り、しなやかで許容性のある社会システムを創造する 「リバネス・レジリエンス・プロジェクト」を始動 ー 大手企業3社、ベンチャー8社、アカデミア1チームが参画 ー

このたび、株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役グループCEO:丸幸弘)は、企業・ベンチャー・行政・研究機関等、異業種異分野のパートナーが横断的に協働することで、有事と平時の両方に機能する、しなやかで許容性のある社会インフラの創造を目指す「リバネス・レジリエンス・プロジェクト」を始動いたします。

ウェブサイト:https://resilience.lne.st/

リバネス主催のもと、第1期の企業パートナーとして、アクアクララ株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、東日本旅客鉄道株式会社が参画し、自立分散型インフラやフードセキュリティ、リビルディング、衛星データ等のテクノロジーを有する8社のベンチャー、1つのアカデミアチームと共に、災害マネジメントを中心としたソリューション開発を進める予定です。
また、引き続き本プロジェクトに参画する企業・自治体・大学を募集しています。

■第1期チームの紹介

<主催>

社名 概要
株式会社リバネス ディープイシューを解決するためのディープテック開発

 

<企業パートナー>

社名 概要
アクアクララ株式会社 飲料水・ウォーターサーバー
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 マーケティング・ICT
東日本旅客鉄道株式会社 まちづくり・輸送インフラ

 

<ベンチャーパートナー>

社名 概要
WOTA株式会社 小規模分散型水循環システム
株式会社ACSL 産業用ドローンを活用した郵便・物流/災害対応・防災
株式会社e6s 電気水道に依存しない自立型トイレ
環境微生物研究所株式会社 小型メタン発酵システム
株式会社チャレナジー 自立分散型の風力発電
株式会社テラ・ラボ 長距離無人航空機による災害対策情報支援システム
株式会社Ridge-i   AI・ディープラーニングのコンサルティング・開発
株式会社Liberaware 小型ドローンによる倒壊物点検

 

<アカデミアチーム>

社名 概要
UTokyoチーム 大規模火災(Wildfire)の未然防止システム

■リバネスにおける復興支援の経緯
リバネスでは、2011年3月11日に起きた東日本大震災からちょうど1年後の2012年3月11日に、東北にゆかりのある社員を中心に「東北・教育応援プロジェクト」を立ち上げ、企業や大学と共に、東北地域に科学教育を届けてまいりました。2002年の設立から教育事業を祖業とするリバネスでは、被災地における新たな街づくりにおいて、次世代の教育活動がひいては地域課題の解決ならびに復興と創生の起点になると考え、出前の実験教室や次世代研究者の支援を継続実施してきました。

震災発生から5年が経過した2016年には、「集中復興期間」から「復興・創生期間」に移行し、リバネスでも東北地域で活動する次世代研究者の研究成果を社会実装するために、中高生のための学会「サイエンスキャッスル 東北大会」を開催し、研究ノウハウの提供、メンタリングの実施、資金や機器の提供など、あらゆる面からの支援を強化しました。

同時に、2016年4月に、18万人を超える方々が避難生活を余儀なくされた熊本地震が発生しました。折しも、リバネスと熊本県は、県内から次世代ベンチャーを発掘し、メガベンチャーへと育てるための取り組みとして「熊本テックプランター」を開始しようしていました。震災の影響を鑑みて実施の可否を検討していたところ、 「創造的復興」というビジョンを掲げる熊本県より、「こういう時こそ新しいチャレンジをやめない。復旧ではなく、創造的復興にはテックプランターをやるべきである」との言葉をいただき、2016年7月には熊本テックプランターの実施が実現しました。

そして、熊本を皮切りに、この取り組みは全国12地域へと拡大し、2023年には、東北6県の大学等研究機関や中小企業から世界を目指すベンチャーを輩出する広域型エコシステム「東北テックプランター」を開始しました。また、2024年1月1日に能登半島地震が発生した石川県においても、2023年より「石川テックプランター」を実施しており、科学技術で世界を変えようとするベンチャーや研究者のエコシステム構築に力をいれています。

地域の復興においては、科学技術の活用が不可欠であると考えますが、もはや一組織単独の技術やアセット、知識だけでは解決し得ない根深い課題が顕在化しています。また、管轄省庁のもと独立して各取り組みを進めているだけでは、なかなか解決の速度が早まりません。
リバネスは2011年当時、教育から復興活動を開始し、以来、3,000チームを超えるテクノロジーベンチャーや研究者、200社を超える事業会社が参加するプラットフォームを構築するに至りました。その中には、東日本大震災をきっかけに、災害の課題解決を目指すベンチャーも数多く生まれています。

このたびの能登半島地震の発生を受け、いよいよ蓄積してきた技術や知識を集結させて、課題解決のための技術の集合体「ディープテック」を開発し、課題の現場に届け、地域で運用するしくみが必要であると考えました。今後、技術の開発のみならず、実際に導入された技術を活用する地域において、次世代を巻き込んだ教育やコミュニティづくりも重要なテーマとなります。

■レジリエンス・プロジェクトの発足について
自然災害大国である日本は、地震をはじめとする様々な災害にも対応するレジリエンスが求められています。2024年元旦に発生した能登半島地震では、テックプランターを通じて発掘育成したベンチャーたちが被災地に入り、小規模分散型水循環システムによる断水地域への入浴・手洗の提供、ドローンによる建造物内部調査など、様々な支援活動を行ってきました。
その中で、現地で活動するベンチャーからは、各社の独立した技術はあるもののそれらを効率的・効果的に接続するシステムがない、技術を速やかに現場に実装する基盤がない、有事と平時をつなぐしくみ・ビジネスがないなどの声が上がってきました。

実際に、能登地震では、生活に必要なインフラの復旧に時間がかかり、避難した働き手が戻ってこられない、水道管が広範囲にわたり破壊され、道路の寸断等により2ヶ月経過してもなお約1万9千戸で断水が続いた、仮設住宅の需要を満たしておらず避難が長期化した、などの状況が起こったと言われています。

これまでも各組織が被災地支援に力を入れてきましたが、南海トラフ地震や首都直下地震の発生も予測される中、災害発生時に各組織が独立して対応策を講じるのではなく、普段からまちの中で活用できる自立分散型のインフラ(水、エネルギー、通信等)や自立型トイレシステム、ドローンを活用した点検・輸送システム、衛星データを活用した災害予測システム等を分野横断で複合的に組み合わせ、平時と有事両方の観点からまちやコミュニティをデザインしていくことが重要になると考えます。
さらに、この課題は災害に限ったことではなく、大規模・効率化を追求した現在の社会システム全般が抱える課題でもあり、近い将来、インフラ老朽化や過疎化による生活インフラ機能の維持など、諸々の問題が顕在化してくると予想されています。

そこで、このたび、リバネス主催のもと、本プロジェクトの趣旨に共感する3社の大手企業、8社のベンチャー、アカデミア発の学生チームと共に、平時からしなやかで許容性のある社会インフラを分野横断的に創造するリバネス・レジリエンス・プロジェクトを立ち上げました。
第1期は、災害マネジメントを大テーマとし、「自立分散型のインフラシステム(水・エネルギー)」、「大規模火災の未然防止システム」等について、ビジネスソリューションの開発を進める予定です。

今後、石川県や熊本県をはじめとする自治体から、レジリエンスに関する課題テーマを募集し、ベンチャーや大学が有する技術、中堅企業・大手企業のアセットを組み合わせ、異業種異分野のプロジェクトチームを組成していきます。

なお、4月19日(金)に、本件に関する記者発表会を開催いたしました。

<実施概要>
日時:2024年4月19日(金)16:00-17:00
場所:ステーションコンファレンス池袋
参加者:
●株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸 幸弘
●アクアクララ株式会社 経営戦略室 マーケティング課 課長 内山 政道 氏
●キヤノンマーケティングジャパン株式会社 企画本部R&B推進センター グループマネージャー阿部 龍生 氏
●東日本旅客鉄道株式会社 執行役員 マーケティング本部副本部長 竹島 博行 氏
●WOTA株式会社 代表取締役 兼 CEO 前田 瑶介 氏
●株式会社ACSL 事業開発ユニット 部長 佐々木 大介 氏
●株式会社e6s 代表取締役 高波 正充 氏
●環境微生物研究所株式会社 代表取締役社長 馬場 保徳 氏
●株式会社チャレナジー 代表取締役CEO 清水 敦史 氏
●株式会社テラ・ラボ 営業戦略部 新本 圭一 氏
●株式会社Ridge-i 代表取締役社長 柳原 尚史 氏
●株式会社Liberaware 代表取締役CEO 閔 弘圭 氏
●東京大学 学生チーム In-Spector 李 在原 氏、竹田 悠哉 氏、富田 凜太郎 氏、高橋 淳一郎 氏

■各社のコメント

株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸 幸弘

能登地震の際にテックプランターから生まれ育ったベンチャーたちが、誰に指示されたわけでもなく、助けに行きたいという一心で被災地に駆けつけました。しかし、各社の技術は成熟してきたものの、日本にはまだ社会システムとして動く仕組みや平時と有事をつなぐ仕組みがありません。さらに、日本の震災だけでなく、世界に目を向けると、火災や水害など他の課題も山積しています。このプロジェクトを通じて日本で組み上げたディープテックを世界に広げていきます。

アクアクララ株式会社 経営戦略室 マーケティング課 課長 内山 政道

ボトリングした水の製造から販売、ご家庭のウォーターサーバーへ届けるまでを事業としています。全国にフランチャイズ展開しているので、有事の際は地場企業の協力のもと、どこでも水を作れる環境があります。平時の時には、常に一定量の飲食料を家に備蓄しておくローリングストックの考え方で違和感なく使ってもらえるのが利点になります。技術をもっている方々と共にインフラにねざした事業を創っていきたいです。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 企画本部R&B推進センター グループマネージャー 阿部 龍生 

今年新たに、「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」をパーパスに掲げました。その取組みをリードするためにR&B推進センターを立ち上げ、事業構想の一つとしてレジリエンス領域を考え始めています。我々はR&B(Research & Business Development)を通じて、事業開発の企画から出口の販売サービスまでを幅広く支援できると考えています。本プロジェクトを通じて、仲間をつくりながらレジリエントな社会を創っていきたいです。

東日本旅客鉄道株式会社 執行役員 マーケティング本部副本部長 竹島 博行 

能登半島地震が起きた際、Suicaとカードリーダーを石川県に提供し、避難所の利用者に登録頂いた個人情報をSuicaと紐づけ、避難所での状況把握の仕組みや物資支援の効率化につなげました。Suicaの持つ電子マネーやチケッティングの使い方を越え、新しい発見になりました。スタートアップや色々な方とタッグを組むと、様々な解決策を生み出せると思っており、JR東日本グループの色々な場所を掛け合わせ、課題解決を実現していきましょう。

WOTA株式会社 代表取締役 兼 CEO 前田 瑶介 

WOTAは、上下水道が使えない状況下での水利用を可能にする、小規模分散型水循環システムを開発しています。能登半島地震では、石川県や6市町の要請を受け、個室シャワー・手洗いスタンドを1月4日から提供開始し、1月末には能登半島のほぼ全域のカバーを実現し、現在も提供を継続しています。しかし、能登半島の数百倍以上の断水被害が想定される首都直下型地震や南海トラフ地震といった「国難級災害」に対しては、対策が大きく不足しています。コストを抑えながら、災害時に水に困らないようにするための社会システムを構築する必要があります。

株式会社ACSL 事業開発ユニット 部長 佐々木 大介 

能登半島地震では、輪島市からの要請で現地で活動しました。今までは自衛隊や現地の方が足で医薬品を取りに行っていましたが、ドローンで代替することで、他のことに時間を使えるようになりました。また、陸路での物流に課題があったので、空撮により船が港に接岸できるか調査を行いました。このような技術を用いて様々な課題の解決に取り組んでいきたいと思います。

株式会社e6s 代表取締役 高波 正充 

3.11を契機に大学で研究してきたものを商品化しました。これまでトイレは災害対応のテーマから外れていましたが、能登半島地震でトイレの重要性が再認識されたと考えています。災害が起きると12時間以内に90%の方がトイレにいきたくなる一方で、3日以内に仮設トイレが届く確率は34%に留まっています。e6sは平時に普通の水洗トイレとして使い、災害時はインフラに依存しない自立型トイレに切り替えることができます。今は福島で活動していますが、日本中、世界中に広げていきたいと思います。

環境微生物研究所株式会社 代表取締役社長 馬場 保徳 

自分自身は学生の頃に3.11で被災した経験があります。家と避難所を往復し、暖かい食べ物も灯もなく、家族とも連絡がつかない中、雑草だけがそこにありました。草からメタンを作る装置があれば、助けになるだろうと考えたのです。しかし、雑草はメタン発酵できないので、牛の胃袋の中にいる微生物に着目し、世界で初めて胃液を使ったメタン発酵の高効率化を見出しました。例えばスーパーマーケットに設置した場合、平時は店舗の中で電力を使用し、災害時は炊き出しやスマホの充電ができ防災拠点になる、そんな世界を目指しています。

株式会社チャレナジー 代表取締役CEO 清水 敦史 

3.11をきっかけに、風力発電にイノベーションを起こすことを目指して個人で活動を開始しました。テックプランターで最優秀賞をとり、会社化して10年が経ちました。現在開発しているマイクロ風車は、微風でも吹雪でも発電できる環境を選ばない風車です。いよいよプロダクトができ、防災に役立てられると感じています。このプロジェクトを通じて、電気をどう被災地で活用するかというモデルケースをつくり、災害現場で役立つことを実証していきたいです。他のベンチャーのプロダクトも電気を使うことが多いので、それらにも貢献できると考えています。

株式会社テラ・ラボ 営業戦略部 新本 圭一 

3.11をきっかけに、地理情報システムを活用したデータ利用が進んでいないという強い課題意識をもって設立された会社です。長距離無人飛行の研究開発を進めており、平時でも撮影を実施し、有事の際にも現地にすぐに撮影にいける仕組みも構築しています。能登半島地震では道路の亀裂の大小や車両の通行可否などの情報収集に時間がかかったと伺いました。我々の技術を用いれば、広域で精細な3次元データの取得が可能なので道路の亀裂や通れる道、家屋の倒壊まで判読が可能です。取得したデータは速やかにクラウドに格納してみなさんに使ってもらえるように取り組んでいきます。

株式会社Ridge-i 代表取締役社長 柳原 尚史 

衛星データ活用とAI解析の組み合わせで、土砂崩れや紛争及び災害による建物崩壊、海ごみの可視化など、早く・正確な状況分析を可能とするソリューションを開発しています。最近は、低解像度の画像と高解像度の画像をマルチスケールで分析する広域変化検知AIを開発し、全地球の地物変化の解析や、足を踏み入ることが難しい紛争地域の状況分析、国土地理院の地図の更新業務などにもご利用いただいております。これら技術をレジリエンスの枠組みでも活用していきます。またドローンデータとも組み合わせることで、総合的な空からの支援が可能になると考えています。

株式会社Liberaware 代表取締役CEO 閔 弘圭 

2013年に大学で原子炉の中をドローンで調査するプロジェクトをやっていました。当時の技術ではドローンが大きくて実証実験だけで終了してしまいました。それが悔しくて現場で使えるものを開発したいという思いから会社を設立し、11年かかって先日ようやく原子炉の中の調査に成功しました。能登半島地震でも現地に入り、倒壊した家の中やショッピングモール、商業施設、ボイラー内部の点検を行いましたが、もっと初動が早く、技術を使う体制が整っていれば、できることがもっと多かったのではと感じています。JR東日本とも合弁で会社を設立し、携帯などのデバイスで撮影したデータをクラウド上で3次元データにして保管しています。日本のインフラの見えていないリスクを可視化し、安全な社会をつくっていきたいです。

東京大学 学生チーム In-Spector 李 在原、竹田 悠哉、富田 凜太郎、高橋 淳一郎 

衛星のリアルタイム画像処理によって大規模森林火災を予防するシステムを開発しています。毎年、韓国全領土に匹敵する森林が消失していて、こういった大規模な森林火災は莫大なCO2を排出しており、気候変動を加速させています。このプロジェクトを通じて、火災発生確率が高い場所と発生タイミングを予め検知し、早期に鎮火・予防するシステムを構築して、地球環境に貢献することを目指しています。日本のみならず全世界の自然災害の予防にも貢献していきたいと考えています。

<本件に関する問合せ先>
株式会社リバネス 松原・立花 TEL:03-5227-4198 E-mail [email protected]