【価値創造チャレンジ事業成果報告】 U-MAP×岡本硝子が3年間でAlNセラミックス基板の量産化を実現、資本業務提携へ
この度、価値創造チャレンジ事業において連携を開始した岡本硝子株式会社と株式会社U-MAPが資本業務提携を行い、AlNセラミックス基板の量産体制構築・製品展開の開始を発表いたしました。本件は価値創造チャレンジ事業をきっかけに連携を開始し、共通の目標のもとでそれぞれが量産化に向けた開発(量産開発)を行うアプローチにより連携開始から3年間という極めて短い期間での量産販売を開始します。
本件発表に伴い、両社の連携開始から資本業務提携に至るプロセスについてご紹介します。
岡本硝子 × U-MAPの連携軌跡
・2020年度:価値創造チャレンジ事業におけるマッチング実施
U-MAP社は自社の独自技術”Thermalnite”を用いたセラミックス基板を開発する計画を検討していたものの、高い製造技術が必要となるセラミックス基板を製造するパートナーを探していました。そこで価値創造チャレンジ事業において、東京東信用金庫の協力の元でセラミックスの混合やシート成形において高い製造技術を有する岡本硝子を引き合わせ、両社が協力することで実現する未来像を検討し、その第一歩として実施できる小規模な検証実施を後押しいたしました。
・2021年度(連携1年目):連携開始から小規模検討の実行
価値創造チャレンジ事業における検証結果を受け、2021年4月両社は量産化検討に向けた連携の開始を発表しました。両社はU-MAP社内にテスト焼成炉を設置して実証を進め、量産に向けた課題点の洗い出しを行うとともに、その解決に向けた開発を加速するために、事業再構築補助金やGotech事業の申請を行いました。2社で協力して申請書を作成するプロセスにおいて課題の共通認識や解決アプローチ、達成目標などを明確化することで両社の開発スピードは大きく加速しました。
・2022年度(連携2年目):外部予算獲得による開発の加速
前年度の取り組みの結果、U-MAP社が申請主体として事業再構築補助金、Gotech事業に採択され、1.5億円の開発予算を確保することができました。特にGotech事業は、AlNセラミックス基板の量産販売をゴールとし、3年間という期間で性能強化と生産技術開発を加速させるという両社の量産販売に向けた開発計画の中核となり、事業の加速を大きく後押しする結果となりました。
さらにU-MAP社の事業再構築補助金の採択実績を受け、岡本硝子社も量産開発に必要な自社開発テーマにおいて事業再構築補助金に申請しました。本申請も採択され岡本硝子は1.5億円の設備投資予算を確保する結果となりました。さらにU-MAP社は、2022年12月にリアルテックファンド等から、新素材の量産販売開始に向けて7億円の資金調達を実施しました。この資金調達に当たり、セラミックス基板の高い製造技術を有する岡本硝子との連携は大きなポイントとなっています。
・2023年度(連携3年目):量産設備設置および販売体制の構築
焼成炉量産機設置や大判化反り対策の実施など量産体制構築に向けた開発を進めました。また、テクノフロンティア2023やネプコンジャパンへの出展をはじめ両社共同での展示会出展を行い、販売体制の構築・PRなども開始しています。
・2024年度(連携4年目):Gotech事業の完了、資本業務提携へ
2024年11月、Gotech事業の成果として4.5インチサイズのAlNセラミックス基板を月産3万枚程度生産可能な生産キャパシティを実現し、流動品販売を開始しました。そして今後の両社のさらなる連携に向け、資本業務提携を行うことを発表するに至りました。
<両社の取り組みのポイント>
・量産開発のススメ 量産体制を構築するためには、研究開発とは異なる「量産開発」が必要となります。共通のゴールを設定するとともに、実現に向けてスタートアップ、中堅企業それぞれの開発要素や達成目標を明確にすることが必要です。 ・補助金/委託事業の有効利用 目標の達成のためには、設備投資や人員投入など、大きな開発費用が必要となります。その際、Gotech事業や事業再構築補助金など、国や自治体の補助金や委託事業を活用しましょう。採択時には予算確保が期待できるとともに、万が一不採択になった場合にも、作成した開発計画は連携を進めるうえでの大きな財産となります。その際、それぞれが主体的に申請書を作成すると、下請け構造とは異なるパートナーシップがつくりやすくなります。 ・販売促進も共同で実施 量産体制の構築と並行し、販売促進に向けた展示会出展を積極的に行うことが重要です。展示会出展では、顧客候補のニーズを聞くことで新たな開発アイデアや販促の方向性などを考えるきっかけになることに加えて、両社の量産に向けた進捗を外部に発表することで様々な機関からのリアクションが期待できます。 |
・価値創造チャレンジ事業について
関東経済産業省が主体となり、グローバルニッチトップ(GNT)企業、地域未来牽引企業、サポイン企業をはじめとする、成長志向型の中堅・中小企業に対して、自治体、金融機関、産業支援機関等の 地域サポート機関 の参画を得ながら、 イノベーション力を秘めた全国のスタートアップとのマッチングの機会を提供し、イノベーションの手法として位置づけられる「両利き経営」の実践を通じて、コア技術の応用範囲の拡張や中長期的な視点での新市場創出など、既存事業の成長に加えて、新たな事業創出をサポートする事業です。リバネスは2020年度より同委託事業の実施事業者として中堅企業・中小企業の事業化支援に取り組み、2020年度から2023年度まで72件の連携事例を創出しています。
>>岡本硝子とU-MAPが連携を開始した2020年度の成果報告はこちら
>>価値創造チャレンジ事業のその他実績
2023年度の連携事例 / 2022年度の連携事例 / 2021年度の連携事例
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