【実験教室 実施報告】勝田中等教育学校にて、中学生120人にベンチャーの世界初レアメタル回収技術のサイエンスを届けて参りました
株式会社リバネスは、2024年12月13日(金)に勝田中等教育学校において「都市鉱山に眠る宝 「レアメタル」を掘り出せ!」をテーマに出前実験教室を行いました。当日は、勝田中等教育学校から3クラス、合計120人の中学2年生が参加いたしました。
今回の実験教室は生徒が科学に親しみ、科学的思考力を鍛えるのを目的とした茨城県勝田中等学校の「サイエンスデー」の一環で行われました。今回は「都市鉱山に眠る宝「レアメタル」を掘り出せ!」を実験教室におけるミッションとし、意外と身近なレアメタルの枯渇問題に対して科学技術がどう解決策になり得るのか、その可能性とサイエンスの面白さについて迫りました。
先端技術の一例となる技術として取り上げたのが、世界初でエマルションフロー法を活用してレアメタルの溶媒抽出技術を開発した茨城県発ベンチャー株式会社エマルションフローテクノロジーズの技術です。当日はCTOの長縄氏が特別講師として参加し、サイエンスだけでなく研究者の視点、起業家の視点から自ら起業に当たっての体験談を語りました。
元々エマルションフローの技術は茨城県の日本原子力研究開発機構から生まれた技術で、当初は核廃棄物から金属類を回収する技術として開発されておりました。その中で自動車産業のEV化の社会的背景を受け、二次電池からレアメタルを回収する技術のニーズに着目し、長縄氏は同機構の研究員でもあった鈴木氏と起業することになりました。今では国内だけでなく、欧州等の自動車会社やバッテリーメーカーと連携しながら事業を展開しております。
勝田中等学校のすぐ近所で生まれた技術が、今は世界を舞台にして社会課題解決に役立っているというストーリーが長縄氏の講義から伺えました。最後に長縄氏からは「時間を忘れてのめり込む体験を大切にして欲しい」というメッセージとともに、研究者、起業家の根底にある好奇心を生徒たちに伝えました。
【概要】
日程 | 2024年12月13日 |
時間 | 1-2時間目 8:35-10:35
3-4時間目 10:45-12:45 5-6時間目 13:40-15:40 |
場所 | 茨城県立勝田中等教育学校 化学室
(〒312-0003 茨城県ひたちなか市足崎1458) |
テーマ | 都市鉱山に眠る宝「レアメタル」を掘り出せ! |
目的 | レアメタルのリサイクル技術という最先端の技術に触れつつ、生徒が自分自身の興味に沿って活動するきっかけを作る。 |
内容 | レアメタルの抽出実験、エマルションフロー技術の説明 |
対象 | 茨城県立勝田中等教育学校 中学2年生 120名 |
【当日の様子】
実験教室の初めは株式会社リバネスの講師からレアメタル資源の枯渇が引き起こす社会問題やリサイクル技術の必要性を伝え、本日のテーマである「都市鉱山に眠る宝「レアメタル」を掘り出せ!」というミッションが生徒等に伝えられました。
まず最初の実験ではリチウムイオンバッテリーを焼却したブラックマスに例えた複数種類のビーズの混合物から、各種類のビーズに分別するワークを行いました。ピンセット、水、磁石、ざるを分別道具として用いながら、ビーズの性質の違いに着目して分別する重要性について考えました。それらを踏まえ、油への溶けやすさの違いを利用したレアメタルの分離について、イメージをふくらませました。その後ニッケルとコバルトの水溶液を利用して確かに親油性が異なることを確かめた上で、ブラックマスの水溶液からコバルトだけを抽出する実験を行いました。
実験の前後には、原理を説明するだけでなく、レアメタルを取り巻く社会問題(コンゴ民主共和国での違法労働や児童労働)についても触れることで、社会課題の解決と科学技術は深く関連していることについて理解を深めることができました。
講師による講義 | 実験の様子(ビースの分別) |
実験の様子(コバルトの抽出) | レアメタルの実物 |
実物に見入る様子 | 長縄氏の講演 |
長縄氏と生徒との交流 | 生徒とスタッフとの交流 |
【生徒の感想】
・今回の実験教室を通して、以前よりも理科(実験)が楽しいと感じるようになりました。
・今回のサイエンスデイを通して、理科で学んだことを社会に活かしていけるということを知ることができて良かった。
・専門的なことばかりやるのだけではなく、息抜きも必要で、その息抜きで偶然大きな発見ができたという話が心に残りました。
・とても楽しく教室を受けることができました。先生たちも面白い人達ばかりで、もっと様々な実験をしたかったです。ありがとうございました。
・自分の好きなことをして世界を変えられるなんて素敵だと思いました。
・今回の授業を通して、今やりたいことがなくても、少しずつ自分のやりたいことを見つけていきたいと思った。
・一人で起業した長縄さんの話が一番印象に残りました。
・将来、研究者になろうかなと思いました。
株式会社リバネスは12年前から科学技術の集合体を作り、社会課題の解決を目指す「テックプランター」のプラットフォームを日本と東南アジア6カ国で築き、今まで3000チーム以上の研究者やベンチャーを支援して参りました。その中で2020年に開催した第4回茨城県テックプランターをきっかけにエマルションフローテクノロジーズ社は法人化しました。リバネスは、エマルションフローテクノロジーズ社に限らず科学技術の力で社会の課題解決を目指すスタートアップの姿と技術を次世代に届けることで「知識の循環」を生み出し、これからも科学技術の発展と地球貢献の活動を広げて参ります。