【開催報告】4Dプリンティング研究のすそ野を広げる議論の場『4D Printing Summit』を開催しました
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株式会社リバネスは、4Dプリンティングに関する研究開発を推進する山形大学 工学部 機械システム工学科の古川 英光教授らと4Dプリンティングの研究開発の最先端について共有し、技術の可能性について議論する「4D Printing Summit」を2025年1月7日に実施し、44名の方にご参加いただきました。
(参考)開催予告リリース https://wp.me/s2FxVs-4dp
4Dプリンティングは、光、温度、磁場、pH、力などの二次的な刺激によって形や性質を変える素材を用いることで、従来の3Dプリンタで造形したものにはなかった、刺激応答性、それによる機能発現のオン・オフを制御できる素材のプリント技術です。機能性材料の開発や、コンピュータを使った刺激による造形物の動的変化、機能発現の予測方法、異種材料を狙った場所に配置するためのプリント方法などが開発されている一方で、産業界やアカデミアがその現在を知る機会は限られていました。4Dプリンティングはこれからすそ野が広がっていく研究分野であり、現在の研究の最先端を知ることが産業界、アカデミアで新たな融合研究、技術の実装を加速すると考え、今回4D Printing Summitを開催しました。
本会では、4Dプリンティングの技術開発の最先端について紹介する、「4Dプリンティングの技術体系の概要」を山形大学教授古川英光先生に、要素技術である「4Dプリンタ向けの素材開発」、「造形物の機能予測のためのシミュレーション」に関して、それぞれ九州大学 教授 三浦佳子先生、立命館大学 准教授 王忠奎 先生 から現在の研究についてお話しいただきました。
4D プリンティングの応用についてのトピックとして、山形大学准教授小川純先生より「『柔らかい』という要素が、仮想と実体の両方で、物の操作、テクスチャの解析、触感の解釈、変形の機能性に至るまで、良好な効果を生み出していること」を実例を踏まえて紹介いただきました。
また、株式会社F-EAT 代表取締役 伊藤直行 様からは「フードプリンティングと空間コンピューティングを用いた新しい食環境の構築について」のトピックについてもお話しいただきました。
講演の間に4D プリンティングの装置の実演も行い、参加者が実際のプリンティングについてなど具体的なイメージができる様にもしました。
「4Dプリンタの現在地とこれから」と題して4Dプリンティングに関する有識者によるパネルセッションを実施し、日本から4Dプリンティングのその広がりを加速するための研究開発のコミュニティの立ち上げについても議論しました。
登壇者、右から山形大学 古川英光教授、株式会社LIGHTz 池田敏男 様、キオクシア株式会社 先端技術研究所 研究戦略企画室 吉水 康人 様、リバネス知識創業研究センター センター長 高橋宏之(モデレータ)
セッションの中では、材料起因の「動き」の要素などを加味することで、デジタル技術が発展する中で物質が持つ感性的な付加価値を再発見することにつながるのではないかという議論など、同じ分野で集まっていただけでは生み出されにくい議論が展開されました。
さらに、材料・プリンター・制御技術が密接に関係する4Dプリンティングにおいて、「特筆すべき材料の開発」や「医療や製造業などの現場課題を解決する革新的なアイデア」をどのように技術の発展に結びつけていくかについても議論がなされました。
特に、異分野での利用が予想される4Dプリンティングでは知らない人でも使いこなせることが重要な要素になり得ます。そこで、これまでの知識の習得や技術の使いこなし方を共有し、様々な分野での利用を加速させるための「ナレッジ共有システム」を開発する、株式会社LIGHTz池田敏男様から具体的な例を用いて紹介をいただきました。
今回のイベントの中で見出された「4Dプリンティングで実現したいアイデア」について、技術検討や実証など進めていく想定です。日本が4Dプリンティングの研究開発と社会実装をリードしていき、多くの革新的な製品開発や社会課題の解決を実施できる様に、4D Printing Summitは今後も継続して技術の確立やコミュニティ形成などを担っていきます。
【実施概要】
イベント名:4D Printing Summit(4Dプリンティングサミット)
開催日時:2025年1月7日(火)13:00-16:40
開催場所:センター・オブ・ガレージ(〒130-0003 東京都墨田区横川1-16-3)
参加人数:44名
参加者:事業会社、ベンチャー企業、アカデミアの研究者
【当日スケジュール】
時間 | 内容・登壇者 |
13:00-13:05 | 開会のご挨拶 |
13:05-13:50 | 4Dプリンティング概説
◯3Dプリンタの進化と4Dプリンティング(15min) 演者:山形大学教授 古川 英光 様 ◯4Dプリンタの素材開発(15min) オンライン 演者:九州大学教授 三浦 佳子 様 ◯機能予測のためのシミュレーション(15min) オンライン 演者:立命館大学 准教授 王 忠奎 様 |
13:50-14:00 | 休憩 |
14:00-14:30 | キートピックプレゼンテーション
◯山形大学 准教授 小川 純 様 ◯株式会社F-EAT 伊藤 直行 様 |
14:40-15:10 | 4Dプリンタ実演 |
15:10-16:00 | パネルセッション「4Dプリンタの現在地とこれから」
<パネリスト>
<モデレータ> リバネス 知識創業研究センターセンター長 高橋宏之 |
16:00-16:10 | 閉会のご挨拶 |
16:10-16:40 | 交流会 |
※ 本イベントは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDO 先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」のうち「マテリアル・バイオ革新技術先導研究プログラム」の一環で実施するものです。
<お問い合わせ>
株式会社リバネス 4D Printing Summit 運営担当(長・内田)
E-mail:[email protected]
TEL :03-5227-4198