第24期のご挨拶 ― 株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸 幸弘

知識の民主化と知識研究経済圏
2025年5月、OpenAIが提供するChatGPT Enterpriseをグループ全社員に導入しました。生成AIの急速な普及により、知識の民主化が進み、誰もが膨大な情報に簡単にアクセスできる時代が到来しました。これはすなわち、人が知識をどう読み解き、何に活かすかが大きく問われる時代が来たということです。
リバネスは2019年より「知識研究経済圏」という概念を掲げてきました。これは、知識と研究を起点に個のネットワーク組織が、産業と社会を動かしていく新たな経済圏です。知識をどう組み合わせたら地球の課題を解決できるのかを考え続けることこそが、リバネスの本質であるサイエンスブリッジコミュニケーションです。今こそ、人の好奇心と「研究する」という営みそのものが鍵になると、確信しています。
さて、これからの世界では「知の逆流」が起こります。そしていよいよ、金融資本主義から知識資本主義への本格的な転換が始まります。つまり、「富」から「意味」へのシフトです。世界をリードしてきたアメリカでは研究への投資が減少し、一方で東南アジアでは研究や教育への投資が強化され始めました。リバネスは2024年10月、リバネスマレーシアを東南アジアにおけるヘッドクォーターとする体制を発表しました。これから、多様な課題が集まる東南アジアを中心に、日本の知識と技術の集合体で課題解決をし、結果的に経済が発展していく。東洋思想の根幹である「調和」をキーワードに、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナムの6カ国を中心とした活動をさらに強化していきます。
2024年12月15日には『新時代の世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。』を出版し、ビジネス創出の在り方を変える「QPMIサイクル」と「サイエンスブリッジコミュニケーション」の概念を改めて言語化しました。そして2025年4月、東日本旅客鉄道株式会社の「高輪ゲートウェイシティ」内に「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars' Hub Lab(通称 LiSH Lab)」が開業し、「知識研究経済圏」の思想を体現する他に類を見ない研究所がスタートしました。これからのリバネスは、地球の課題解決を目指すベンチャー企業、大手企業、研究者、子どもたちなど、多様な人々が集まり、新しい知識を生み出す拠点となります。もはや論理や常識だけでは未来を切り拓くことはできません。必要なのは、自らの直感を信じ、それを淡々と貫く姿勢です。
個の時代になる、それが「知識研究経済圏」です。私たちは、来年、創業24周年を迎える年を「知識研究経済圏」の幕開けの年とすべく、進んでいきます。
2025年7月1日
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO 丸 幸弘