【レポート】産学協働イノベーション人材育成協議会が発足

【レポート】産学協働イノベーション人材育成協議会が発足

2014年1月22日の日経一面にどかーんと出ていたので目にした人も少なくないのではないかと思うが、産学協働イノベーション人材育成コンソーシアム事業というものが動いている。同日に行われたシンポジウムに参加した内容について考察する。

この度一般社団法人として「産学協働イノベーション人材育成協議会」というものが登記され、活動を進めていくというもの。

何かというとシンプルに言えば、大学から産業界への中長期インターンシップを活性化させ、イノベーション人材をたくさん生み出そうというもの。

大学側からは、北海道大学、東北大学、筑波大学、千葉大学、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東京工業大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、九州大学が参画

企業側からは、ダイキン工業、東レ、パナソニック、日立造船、三菱重工業、三菱電機、村田製作所、DMG森精機、日本電気が参画

これらの参画企業は今後更に拡大していき、グローバル化も視野に入っている。

面白いなと思ったのはここだ

なるほど確かにそうなのかもしれない。大学-産業界で共通した人材育成の枠組みについて考えたことは無かったという事に触れるのは大きな前進なのかもしれない。

先の法人の目的はこうだ

定款第三条 この法人は、会員である高等教育機関及び企業等との間の相互連携の強化・高度化を通じて、産学協働によるイノベーション促進人材の育成機会の拡充を図り、もって我が国の教育、学術研究、文化及び産業の発展・国際化に寄与することを目的とする。(太字は著者に寄る)

度々繰り返されたのは「イノベーション促進人材」というキーワード。

懇親会の挨拶で有名なあの一節の話が出た。

「博士号とかけて、足の裏についた米粒とときます。その心は。

とっても喰えないし、取らないと気持ちが悪い」

当事者の面々は、これを「かつては産業界にこう言われていましたが」というようにしたいという意識があるようだ。

今回の立ち上げについては、経産省のみではなく、文科省も関わっているという事が大きい。

例えば中長期(具体的には三ヶ月を超えるようなもの)については、旧態依然としたラボでは普通は不可能だ。

リバネスはそれを知っているので、そもそもの設立当初からウィークエンド型インターンシップ位置づけ、平日は研究に勤しむべしとしてきた。そこを外してしまうと成り立たないから。

ただ、今回についてはそこの規制緩和を行おうという意志が見て取れる。そこは面白いのではないかと思う。

そして、これの運用は主にウェブサイトのシステムに寄って行われるようだ。

オンライン人材交流支援システム開発と実施という項目で表現されていたが内容は以下の通り

平成25年度

目標

  • 中長期研究インターンシップモデルケースを円滑に実施するためのITインフラ整備
  • コンソーシアム参画大学・企業が有する知見やノウハウを踏まえた基本機能のブラッシュアップ

実施内容

  • 関係DB設計
  • ID管理、ワンタイムパスワード、2段階認証などによるセキュリティ機能の実装 ←何故かここだけ嫌に具体的
  • ユーザ間(学生-企業-大学)の基本的なインタラクション機能の実装
  • サイトの基本ビュー実装
  • 情報配信を含む種々の管理機能の実装(学生、教員、企業、大学向け)

平成26年度

目標

  • 企業が求めるスキルセットや研究テーマおよび学生が有するスキルや研究テーマの同一プラットフォーム化
  • それらのマッチング機能、ワークフロー支援機能の実装
  • 企業・大学担当者の負担軽減およびインターン参加事例の増加

実施内容

  • インターン学生マッチングアルゴリズムの実装
  • ウェブサイトへのマッチング機能の追加(推薦・通知・管理方法の調整機能を含む)
  • 検索機能の充実
  • ユーザインターフェイスのブラッシュアップ

平成27年度

目標

  • 学生間、学生・企業間、教員・企業間など多様なステークホルダー間インタラクションを活性化
  • プログラムへのフィードバック、学生の自己研鑚を促進

実施内容

  • コミュニティ機能の実装
  • Facebook、Twitter、LinkedIn、ResearchMap、JREC-INなどの外部サービスとの連携
  • 企業・大学向けAPIの検討
  • 活動ログの集約機能の実装

以上が公開されている情報だ。

何が大事か

この取組で重視されるのは、大学側の時間の使い方に切り込めるかどうかという部分が大きいと思われる。

もちろん、企業側にも超えるべき壁があるとは思うが、大きな組織でなければ採用は情報さえ提供されていればそれほど大きな問題では無いことを考えると、やはり意識改革を行うべきはまずは大学の教員であると言える気がする。

今後の流れに注目だ。