共同研究先募集:アサマ化成株式会社

近年、腸内細菌バランスがお腹の調子だけにとどまらず、全身の健康状態にも影響を及ぼすという知見が急速に拡大している(1)。腸内細菌の抗体によるコントロールは、新生児の場合、母乳中の抗体により行われ、健康な成長を遂げるが、成人以降の病者や、高齢者において、抗体、特にヒト病原菌に対する抗体が腸内細菌バランスに及ぼす影響についてはほとんど知られていない。そこで、アサマ化成株式会社では、牛乳中の自然抗体(以下、ミルク抗体)を失活させないよう濃縮した乳清たんぱくの中から、ヒト病原菌と細菌毒素に対する抗体を多く含むアサマ乳清たんぱくを創出した(図1)(2)。

健康人29名に対し、アサマ乳清たんぱくの投与試験行ったところ、非投与群と比較して、善玉の乳酸桿菌、フラジリス菌の増加が見られた一方で、大腸菌、ウェルシュ菌やディフィシル菌などの悪玉菌では有意に細菌数が減少し、特に、ウェルシュ菌の減少はすべての人で見られたように、効果の著しいものであった。(図2)(3)。また、関節リウマチ患者に対して投与試験を行い、米国リウマチ学会の判定基準に基づき評価を行ったところ、18例のうち8例で改善効果が得られた(4)。ミルク抗体は摂取してもこれが体内に吸収されて作用することはないので、ミルク抗体は腸内という場所において腸内細菌叢に影響し、細菌毒素を無害化することにより、消化管とは隔絶した場所で、関節リウマチの治療効果を示したと考えられる(4)。

腸内細菌叢と毒素に対するミルク抗体の、以上のような有益な影響は、単に関節リウマチに留まらず、体調不良や生活習慣病などの病気の改善にも期待できることを示唆している。そこで、アサマ化成株式会社では臨床評価していただける医師や研究者との共同を期待している。

 

〔参考文献〕

1)Reading NC et al. The starting lineup: key microbial players in intestinal immunity and homeostasis. Front Microbiol. 2011;2:148

2)木島佳子ら.  (2009) ヒト病原細菌と細菌毒素に対する乳清タンパク濃縮物中の自然抗体 日本食品科学工学会誌56:475-482

3)岩附 聡ら.  (2011) 牛乳中に含まれる自然抗体の腸内細菌叢に及ぼす影響 日本食品科学工学会誌58 236-244. 

4)Katayama K et al. (2011)  Supplemental treatment of rheumatoid arthritis with natural milk antibody against enteromicrobes and toxins: Results of an open labeled pilot study. Nutr J 10:2

 

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