共同研究先募集:株式会社リバネス

地域素材の見直しとその研究、医食農連携といった動きが強まる中、健康機能性を持つ素材の研究が、産・学およびその連携の中で著しく進歩してきた。その中で、徐々に注目が高まっているキーワードが、「高吸収型」である。本稿で着目するクルクミンは、ウコン (Curcuma longa)の抽出物であり、古くからスパイス、食用着色料としての食経験がある。また、漢方薬としても利用されてきた。近年、疫学的研究により、インド人の大腸ガンリスクが低いことが示された(1)。以降、クルクミンに関して、ガンの予防効果をはじめとした機能性の研究が行われ、臨床応用が期待される成分となった。一方で、経口摂取した場合に生理活性が低いという課題がある。複数の第1相試験がなされたが、大量のクルクミンを摂取しても、血中のクルクミン濃度がわずかに上昇する程度だった(2 – 4)。

 

しかし、2007年、ジョンハーバー大学に所属するBishtらによって、クルクミンをナノパーティクル化することで、生理活性が大きく改善することを示唆した論文が発表された(5)。100 nm以下にナノパーティクル化し、水溶性を大きく高めることができたのである。日本では、株式会社セラバリューズがいち早くこれに着目し、臨床試験をはじめとした成果を発表しており(6)、同社の開発したクルクミン製剤では、血中濃度曲線下面積(AUC)が113±61 ng/mlと、クルクミン原末の約27倍となったという(7)。臨床試験はまさに始まった段階で、さらなる応用の発展も期待できるだろう。

 

〔参考文献〕

1)Mohandas KM., et al. (1999) Epidemiology of digestive tract cancers in India. V. Large and small bowel. Indian J Gastroenterol. 18:118-121.

2)Garcea G., et al. (2004) Detection of curcumin and its metabolites in hepatic tissue and portal blood of patients following oral administration. Br J Cancer. 90:1011-1015.

3)Cheng AL., et al. (2001) Phase I clinical trial of curcumin, a chemopreventive agent, in patients with high-risk or pre-malignant lesions. Anticancer Res. 21:2895-2900.

4)Lao CD., et al. (2006) Dose escalation of a curcuminoid formulation. BMC Complement Altern Med. 6:10.

5)Bisht S., et al. (2007) Polymeric nanoparticle-encapsulated curcumin (“nanocurcumin”): a novel strategy for human cancer therapy. J Nanobiotechnology. 17;5:3.

6)Akira S., et al. (2012) Clinical Application of “Curcumin”, a Multi-Functional Substance. Anti-Aging Medicine. 9 (2):75-83.

7)Sasaki H., et al. (2011) Innovative preparation of curcumin for improved oral bioavailability. Biol Pharm Bull.  34 (5):660-665.

 

 

 

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