ユ ーザーだからこそ、 価値あるものが生み出せる

ユ ーザーだからこそ、 価値あるものが生み出せる

三枝弘士さん チーフデザイナー

1992年4月入社。
入社時から企画部に勤務。
ウエアーの開発に関わる。

宮北泰浩さん

2003年10月入社。
生産部に約3年半在籍後、2007年6月より企画部に勤務。
生地素材の開発を担当する。

 

1975年、日本を代表するクライマー辰野勇と2人の登山仲間が会社を起こす。
扱うのは、自らの経験をもとに、機能性を追求することで生まれた美しいアウトドア用品。
株式会社モンベルは、「Function is Beauty」というコンセプトのもと、業界に新たな風を起こし続けている。

自分たちが欲しいものを作る

ほとんどの社員がアウトドア好きで、金曜日にはカヌーを車に積んで出社する姿も見られるという。
そんな社員たちが部署の垣根を超えて集まり、議論することで導き出される「本当に必要な機能」は、
ユーザーである自身の経験や想いに直結している。
たとえばロッククライミングをする場合、落石の危険があるような場所はできるだけ早く切り抜けたい。
非常時に備え、できるだけ体力を温存しておくことも重要となる。
だからこそ、少しでも装備を軽くするとともに、いつでも素早く扱えるような製品を生み出すため
「Light& Fast」という概念も生まれた。
「売れるから作る、マーケットがあるから開発する、というわけではないんです。
自分たちが欲しいもの、必要なものを作っていく、それがモンベルの姿勢なんです」。
そのために必要な技術・素材の研究開発は、多くの専門企業との共同研究で進められていく。

新たな技術が未来をつくる

1985年に同社が発売した、U.L.ジャケットは、180g。
当時発売されていた海外メーカー製品と比べても驚きの軽さだった。
2013年、新たに発売されたEXライトウインドジャケットは、研究開発の末
50gを切るほどの軽さになった。
「目標は0g。そして、いつか着たら軽く感じる、
マイナスのジャケットなんて作れたらいいですよね(笑)」と、
チーフデザイナーの三枝さん。
製品のリニューアルを繰り返すたびに、大幅な軽量化を行なってきた同製品も、
ストッキングに使われるような7d*の糸を使いはじめた10年前からは、
数gを削るための試行錯誤が繰り返されている。
現在使われている生地の厚さは、0.04 mm。身近にある薄くて丈夫な素材、
調理用ラップの厚さは0.01 mmだ。もちろん風通しや着心
地も重視されるため、そのままラップを使うわけにはいかないが、
生地を使わなければいけないという決まりもない。
「全く新しい素材、全く新しい技法、そういったものを取り入れることができたとき、
今までの概念を覆す製品が作れるはずです」と、素材開発チームの宮北さん。
飽くなき探究心と、実際に自分が使いたいか? という視点から生み出される製品は、
アウトドア用品に新たな歴史を築き続けている。

*d(デニール): 糸の太さを表す単位。1dは、
9000 mあたり1gとなる糸の太さ。