生産現場レポート―養豚の現場から 合資会社オキスイ 宮城建太氏

那覇市より北へ20 キロに位置する沖縄県沖縄市。そこで、宮城建太さんは配合飼料(90% 以上アメリカ輸入穀物)に頼らない完全オリジナル飼料で養豚業を営んでいる。合資会社オキスイは創業以来、近隣自治体からの廃棄物の回収業、上下水道管の維持管理が主な事業であったが、約10 年前より回収した食品残渣からのリサイクル飼料製造と養豚業に挑戦してきた。茨城県の農業生産法人(イセファーム株式会社)で経験を積んで4 年前に帰郷し、父の跡を継いだ宮城さんに、これまでの事業の変遷と展望について伺った。

自前で安定した地域特性のある飼料をつくる

「食品残渣は季節によって内容物が変わります。その中でも品質の安定した飼料を作ることで品質の良い豚肉を生産することができます」と宮城さんは語る。毎日、約300 kg 製造する飼料は、パン、ご飯を基本とし、そこに乳酸菌やおから、野菜を少し加えたものだ。その際に配合分量を記録し、栄養計算システムで成分をチェックする。ある栄養成分が足りなければ、それを補う材料を加えて調整する。このようなデータに基づく飼料製造法は、過去のさまざまな失敗を基礎に構築したものだ。近年はこの飼料製造技術をベースに、さらに沖縄らしさをブランドに反映させるため、地域の特産品を使ったリサイクル飼料の開発、豚のOEM 生産にも取り組んでいる。今までにシークヮサーやアセロラ、青パパイヤの飼料化に挑み、肉質の分析を行ってきた。これからも地域の素材に着目して、地域特性をもった飼料、豚の開発に取り組みたいと考えている。  宮城さんの豚は脂が美味しいと評判で、年配の方々からは「昔に食べていた豚の味がして懐かしいよ」と言われることが多い。沖縄では昔は家庭で必ず1頭の豚を飼育し、家庭から出た食品残渣を与え、1年に1度のお祝いの宴に食材とする習慣があった。挑戦しているのは、この昔ながらの習慣を現代の科学・技術で補完したかたちなのだ。

沖縄で食の循環を作りたい

「沖縄には“ゆいまーる”という方言があります。相互扶助、つまり助け合い、喜びを分かち合うという意味です。私たちは農家や畜産業者、小売業者が連携した食の循環“くいまーる”を目指しています。ゆいまーる精神をもった我々の取り組みで食の輪や人々の和が作れるようにと思っています」と宮城さんは話す。現在、沖縄県でリサイクル飼料を製造している業者はそう多くない。また、配合飼料の価格が高騰し、多くの養豚農家が廃業に追い込まれている。これらの状況は宮城さんたちにとって、むしろ追い風になるのかもしれない。昨年は“くいまーる”によって生まれた豚肉加工品が沖縄市の地域ブランドの認定を受けた。「今は生産した豚を多くの方々に知ってもらえるように心がけています」と語る宮城さんは、沖縄らしさを取り入れたリサイクル飼料を通して、畜産業界を盛り上げていきたいと考えている。