研究にかける情熱をもって、 学生にきっかけを与えたい ~ 大学第一世代への後押し vol.1

研究にかける情熱をもって、 学生にきっかけを与えたい ~ 大学第一世代への後押し vol.1

(*このインタビューは2010年夏、筆者がライト州立大学を訪問した時の取材を元に書かれています。原文は『incu-be』10号p8-9から抜粋)

大学第一世代を多く抱えたライト州立大学では、STEMM(Science,Technology, Engineering, Math and Medicine)の分野を強化しようという動きがある。その中で学部生のときから研究の面白さを知ってもらうためのプログラム開発と運営を担当するDominique Belangerさん(Ph.D.)にお話を伺った。

「第一世代が多く、勉強することが将来のためになるという認識を学生が持ちにくいという問題があります。低学歴の両親のもとでは、親も教育の大切さを認識しないこともある。大学教育を受ける率と、親の年収の相関関係は否めないところがあります。私はこの大学のSTEMM Coordinatorとして、自信に欠け、能力を発揮できていない学生たちを育てていくためのプログラムを開発しています」。今年の夏に行われる10週間の特別夏季プログラムでは、学生がセミナーと研究体験をする。学生は日当を受け取りながら、プログラムの前半で5週間のキャリア選択、大学院選択についてのセミナーを受け、後半は大学教員の指導のもと各自の研究に携わる。そしてプログラムの最後に研究結果を発表する。夏の間、ライト州立大学では通常授業が行われているが、授業をとらずにアルバイトで小遣いを稼ぐ学生はたくさんいる。同じ期間にプログラムを開催することで、ハンバーガーを売ってお金を稼ぐのではなくて、研究活動に携わってもらおう、という狙いがある。 

私がDominiqueさんを訪ねた日が、ちょうどプログラムの申し込み締切だった。ファイルに綴られた願書の束を私に見せながら、平均的な成績さえとっていれば申請ができると教えてくれた。「高成績の学生は、こちらの後押しがなくても、インターンシップや奨学金をもらうチャンスがたくさん巡ってくる。平均的な成績の学生たちは、能力はあるけれども、残念ながら本領を発揮しないで終わってしまう人が多いのです」。後押しが必要な学生層を受け入れるという目的は、このプログラムの申し込み条件の内容にも現れていた。

続く