研究が好きかどうか、それが大切。東京理科大学 太原育夫先生
太原先生が今の学生にもっと鍛えて欲しいと思うことは「ストーリーを語る」力。それはどんな力なんでしょうか。
「古典を学ぶことも大事だと思います。人間の本質はそんなに変わらない。例えば、自分の研究分野の歴史を遡ると、先人がどのような考えを持っていたのか、どのような間違えをしたのか、学ぶことができると思うのです。つまり、今の自分の研究課題の背景にはどんな試行錯誤があったのか知ることができます。古典的教養は、自分が躓いたときの突破口を開くヒントを与えてくれると思います。」
実は私が博士課程在籍中の時、一番苦戦した授業がずばり「History of Psychology」
歴史を遡って、哲学の発展や、歴史的背景を含めて現在の心理学の学問へ至るまでの経過を学ぶ授業でした。論文を読み学ぶとは、全く違う。デカルトが提唱していたDualismは、どう発展していったのか。それは現代の心理学の思想とどうつながりがあるのか。情報が膨大だったけれど、背景を学んだことで、ぐっと自分の知識に深みがでた気がした事を思い出しました。
「自分がやっている最先端の研究の背景には何があって、自分の研究を進めることによって、どこに向かって何がわかっていくのか。自分の研究は社会ではどのような意味を持つのか。その過去から未来へのストーリーをきちんと考えられることが大切。それをすることで、社会に出たときに自分の社会での位置づけ、これからどのように行動するかも、おのずと見えてくるのだと思います。」太原先生は言います。
自分が歩んできたこと、成し遂げたことを棚卸して、一年に1回でも振り返って未来を描くことで、
また見えてくる次の行く先があるのではないでしょうか。
太原先生、素敵なお話しどうもありがとうございました!
太原先生の研究室HPはこちら:http://ai.is.noda.tus.ac.jp/